[本文引用]
私がお勧めしたい本がある。
“なぜ僕らは働くのか?”池上彰さん監修の本である。
この類の本は、昔の村上龍さんの“13歳のハローワーク”をはじめ色々とある。
そんな中では池上彰さんの本は、最新であり現代にとてもマッチしていると私は思う。
マンガも含まれているのもあるが、とても構成も中身も親しみがわきやすい。
この本の前書きから少し引用すると、中学生、高校生に読んで欲しいというのが期待する読者対象になっている。もちろん、読み進めると大人が読んでもとても意義がある内容である。
私は、新興国での仕事経験で日本とこれらの国の違いを見ることが多い。
一言でいうと、国が豊かであれば、働き方は多様になってくる。もちろん、日本が世界の中で、本当の意味で豊かかと言えば、話が複雑になるので、この話題は別の機会とする。
働くことを日本とベトナムとアフリカの国で比べてみる。
ベトナムは、この数年の経済成長が特に目立っていて、確かに貧しい国という印象はすでにない。20年前であれば、今や大都会のホーチミンでも貧しさに溢れていた。私がベトナムに初めて接した時の感覚は、生きるために働くというところだった。
ホーチミンやハノイは大都会になったが、一方、ベトナムの地方都市のカントーなどに行くと、今でも質素で素朴な生活がある。水上生活をする人もいる。まさに、生きる力を感じる場所である。
こういう場所でも、ネットがつながってITの仕事もできるから、不思議な感覚はあるが、基本的には一次産業などの労働が多い。やはり、働くのは生きるためという実感がある。
私のお勧めのこの本の出だしは、働く意味を考えるところからである。生きていくためというのは同じだが、今の日本で感じる生きると新興国の生きるは違う。
アフリカにも色々な国があるが、私が最初に訪れたのは、ウカンダである。今は隣のルワンダに現地法人がある。単純に比べると、ルワンダは先進的なところがある国である。特にICT立国を標榜しているので、なおさらその感は強くなる。
一方、ウカンダは貧しさを感じる国である。今でも脳裏に焼く付いているのが、日本などの先進国が設置した井戸から水を運ぶ子供たちである。これは、親の手伝いをしているとも言えるが、生きるために働くという姿だと思う。流石に、ベトナムではこういうシーンはほとんどない。
だから、ベトナムと比べてもウカンダの働く意味は違う。結果、日本の子供に比べて新興国の子供は逞しいと思う。昔の日本の環境とも近い。
さて、日本のような恵まれてくると、同じ働くと言っても主たる目的が変わってくる。流石に今の日本で生きるために働くという人は、少数派だろう。マズローの欲求の話とも近いが、日本の働くには、自然と社会貢献のウエイトも高くなる。
もう一つ、日本の子供にかけているのは、お金を稼ぐという意識だろう。
これは米国などの起業が盛んな国と比べて、日本は遅れているとする考えも結構多い。私もこのギャップは色々と考える機会が多い。
日本では、お金を稼ぐというのがどこか悪いことの様な風潮もある。特に、若者世代で社会貢献意識や一般市民にエシカル消費が芽生えている今の時代。そもそも、稼がないと社会貢献も共感消費も応援消費もできないという原点に立ち返ることが必要だと思う。
以上