[本文引用]
誰かに何かを伝える。
仕事では欠かせない行為だ。
私の場合だと、社内のスタッフとのミーティングということもあれば、セミナーで特定の相手に話をすることもある。最近では、オンラインでのライブということも多い。
ITの世界では、"コンピュータ、インプットがなければただの箱"という迷言もある。
実際、この例えは言い得て妙である。
今のようにAIが一般化されても、この先どんな高性能のコンピュータが登場しても、データや情報などのインプットがないと、アウトプットは出てこない。コンピュータはインプットされたものをアルゴリズムに沿って、アウトプットするのが基本的な機能である。
これを人間に例えるのは、強引に感じる人もいるかもしれないが、私は、仕事においては、このインプットとアウトプットのプロセスをことさら意識して仕事している。
例えば、私は最近、特に農と農業についてのビジネスに注力している。とは言え、まだまだ経験も浅いしノウハウもあまり持ち得ていない。
だから、ここ数か月は農家のプロと密に交流したり、農業エキスパートの人たちが書いた書籍を読み漁ったり、あるいは、農業高校の生徒用の教科書で学んだり、農水省が定期的に発刊する農業白書を参考にしたり、色々とインプットに集中している。
私の場合は、IT業界については40年近く関わっているとそれなりの経験や専門性があり、少々の進化や変化についても、自然体で構えていれば、インプットを特別に意識する必要は無くなる。
それは思うにインプットを長年継続していると、しっかりと情報やデータのタンクが十分に溜まっているという実感があるからである。
そういう意味では、ITやITが関連することには、大抵のテーマに対応できる。つまり、様々な形でいつでもアウトプットできる状態である。タンクが常にマンタンである感覚である。
ところが、先ほど書いた農や農業の分野であると、数回、セミナーなどで話してしまうと、すぐに底をついてしまう。現時点の私の農や農業に関するノウハウや知見はその程度だ。
だからこそ、専門家やプロ農家の話には、一つずつの言葉が新鮮だ。
感覚的には、マスターするのに流石に30年かかるとは思わない。しかし、アウトプットの頻度と質にもよるが、IT並みになるのには、最低でも10年かかると思える。
ただ、それでは私のやりたいことに間に合わない。今、インプットのスピードと質と量をどうやって高めるかを試行錯誤しているところである。
最近気づいてきたことの一つが、インプットはアウトプットが伴わないと進まないということである。つまり、タンクに貯めるだけだと、貯めた情報や知恵や知識がすぐに陳腐化してしまう。また、体系化されたり整理されたりすることがなかなか進まない。
出来れば、農と農業については、最低でも1、2年後には、私にとってのITに関する精通度と同等近くには持っていきたい。
だからこそ、アウトプットに注力しようと考えている。具体的には、セミナーで話しするのは当然として、人に教えるための資料やテキスト作り、そして、それを実際に使ってみる。使うことで、修正点が見つかり新たに付加する項目も見えてくる。
また、これらに比べて少々ハードルは高いが、書籍にまとめることも有効だろう。
書籍にまとめるには、それなりの時間と労力がかかる。しかし、本にアウトプットするためには、どんなインプットが必要であるかがより明確になる。自らが経験を積まなくてもアウトプットは可能だ。
今は、専門化、細分化が進みやすい時代である。特に個が、自分だけが体験したノウハウというのを幾らでも自由にアウトプットできる時代でもある。それを受け手の立場で考えると、インプットするにもあまりにも世の中に玉石混交の情報が溢れている。そういう中から、自分に必要なものをインプットするのはとても大変なことである。
だからこそ、インプットの前田の目利きという役割が重要になってくる。
専門化、細分化しすぎたものをまとめる、言い換えれば統合化、総合化する役割が必要なのである。そういうものをアウトプットすれば、それが誰かのインプットとしてとても有益である。循環するのである。
これを自身のみのセルフサイクルに当てはめて考えてみる。
インプットしたものを統合化する。
そして、それを次の自身のインプットの羅針盤に使う。もちろん、こういうプロセスの実現にはITも活用する。そうすれば、短期間で、専門レベルまで到達できるように思っている。
しばらく、農業や宇宙の私にとっては未知の世界で試してみようと思う。
以上