[本文引用]
知れば知るほど知らないことを知る。
私の最近の口癖の一つになった。
自分で言うのもなんだが、人よりも好奇心は強い方だとおもう。
特に最近、興味がある分野やテーマが増えた。
農業、健康、宇宙、アート、文化、日本のこと、そして人間のこと。興味は尽きないが、知るということは、未知に対する好奇心が原動力になる。すでに世の中では既知ではあるが、自分が知らないこと、また自分の周りの知らないこと知ろうとする機会と時間が増えてきた。
未知にはもう一つの意味がある。
今時点で世の中の誰も知らないこと。典型的なのが科学者の領域だと思うが、彼らの中にはこういう未知を探求することに生涯を捧げる人も多い。
好奇心があれこれと連続的につながる私のようなタイプには、とうてい真似ができない。こういう分野は専門家に任せて、私はひたすら、未知の前者の部分を追っかけようと思っている。
それは、経営者として現代の経営者にお役に立てることの一つであると思っている。
経営者は経営環境や経営に関する情報には敏感でないと務まらない仕事の一つである。
世の中の変化や現実に疎くなると、自社の経営の存続を阻害するリスクが増す。だから、知る努力は社員の誰よりもしておく必要がある。
だが、世の中は情報過多だ。
言い方を変えれば、経営者として知るべき情報と誰でも知っている情報の境目が無くなってきた。
例えば、今、健全なサプライチェーンという考え方が、徐々に経営者の中でも浸透しつつある。生活者の目線で言えば、エシカルという考え方と直結する。生活者が利用している、消費しているその商品は、原材料の調達の段階から、健全ですか?という問いかけである。
特に、新興国や発展途上国で原材料が生み出されている商品は、仮にそこで労働搾取や不正が行われていてもなかなか知ることはできない。
エシカルが生活者の間に浸透を始めてすでに10年は経過している。それでもまだ、エシカルという言葉を知っている人は少ない。
とは言え、すでに世の中は動いている。SDGsも相まって、確実に環境や人権に配慮した生産活動かどうかを見極める目が生活者に養われつつある。
経営者はひとりの生活者でもある。
経営者としては、このエシカルの潮流は絶対に外せない。近い将来、自社の存続に影響することになるのは疑う余地がない。
これは大企業、中小企業関係がない。経営者は経営に必要な情報に敏感であるべきだと言うのは、すでに言い古されているが、今後も変わりようがない。だが、今は、経営者として情報を得るよりも、生活者としての自分が、世の中の変化を捉えておく方が、結果的には、経営にも役に立つ。
今は知らなかったでは済まされない時代である。
経営者のいままでの感覚で、健全経営を考えると、どうしても生活者や社会の変化を後追いすることになる。
これからの経済のあり方は第一に儲かっているかどうかよりも、健全な経営かどうかが問われる。健全で儲かっている方がベストだ。
その次に、健全で儲けはこれから。不健全で儲かっているは、徐々にこれからの経済メカニズムの中では脱落していく。
ここ数年前から、こういう動きが顕著になり、コロナ過でさらに加速している。
経営環境の変化は、生活者が主導していく時代である。そのためには、まずは、生活者として健全であることから学びなおし、実際にそういう生活をする必要がある。
こんなことを書くからには、私も経営者としてよりも先に、一人の生活者としての生活のあり方を見直そうと思う。
以上