[本文引用]
今、日本だけではないが、リスク感度は世界中で高まっている。
しかし、それは“はず”である。
実際は、のど元過ぎれば熱さ忘れる、という状態もあちこちで芽生えている。
世界的な危機に直面してきた今、人間の様々な性や本質が見えてきたと思う。
私が思うに、人間は、遺伝子によって生物としての性質が決まっている。
それに加えて、生きる環境から影響を受ける。
そういう意味では、沢山の偉人がすでに表明してきたことであるが、人間と言うのは、遺伝子的伝承と文化的伝承の混ざりあいの中で、存続してきたと言える。
今回のコロナ禍が原因で、大きな困難に直面している人もいれば、単純に自分には関係ないと思っている人もいるだろう。また、創業社長系に多いが、ピンチはチャンスなりとの信念で、すでに革新的なアクションを始めている人もいる。
こういう経営環境の中で、経営者の本質的な信念や目的が平時よりも明確になる。
それは、何のために経営をしているのかということだろうと思う。
資本主義社会の中であるから、企業は儲けを出さないと存続できない。
また、社会貢献的意識や利他的な考えから外れた会社が利益の拡大だけを目的にしても十分に存続できる時代でもある。
今、世の中は大きく変わりつつある。経営者も世の中の変化に適応できなければ、末路は明白だ。時代の変化に適応できないものは消えてなくなるだろう。
変化はリスクを生む。
この2年間の急激な経営環境の変化は、今まで経験したことがないような、リスクが生じている。今は、コロナ禍だけの直接的な影響から業種によって明暗が分かれている。
悪い業界に属する会社も追い風を受ける業種もある。
そんな中、ついているついてないと本気で思っている経営者がいたとしたら短絡的すぎるだろう。社会は一体である。コロナ禍体験も一体である。当然、こんかいのような急激な変化から生まれたリスクも一体なのである。
とろこがが残念なことに、自分の業界、自分の会社が運よく追い風の中にいる会社は、自分のことだけ考えて突き進む。これは必ず大きな反動が来るだろう。
なぜなら、本質的な経営環境の変化に気づかないからだ。顧客の変化、生活者の変化、世界の変化に、今好調な会社は気づきにくい。
一方で、今厳しい環境下にある業種はどうだろうか?単純に試練を乗り越えたら明日があるだろうか?試練をのり越えられない会社もすでにある。試練に打ち勝とうしている会社もある。しかし、先々で生き延びているとは限らない。
結局は、いずれの側においても、目の前だけしか見ていないようでは、先行きは明るくない。
今回はコロナ禍による危機感であることは間違いない。
今までもそうだったが、これからもある日突然危機はやってくる。そもそも、急激ではないが、産業革命以来のたった200年で地球は痛んでいる。それは人間の活動による結果だ。
これこそが、今私たちが直面している最大のリスクである。
今日のタイトルに沿って言えば、企業経営の観点だけで見れば、単純に儲けること、つまり、マーケティング、広告、営業力強化にはほとんどの企業はすぐに投資する。一方で、リスク対策のような先に対する投資には消極的だ。
これは企業だけではない。官公庁自治体も含めてあらゆる組織が似たような問題を抱えている。
だからこそ視点を変えて、今、好調かどうかも関係なく、今起こっている私達が生活する地球の危機に対して先行投資する。リスク対策を講じる。こういうことができた組織が次世代を担うのだと思う。
リスク対策を目の前の儲けのためだけにバランスをとるのではなく、地球全体のリスク対策と対比させて考えていく、それが本質的なSDGsだと私は思う。
そろそろ、目先の儲けだけを考える企業が淘汰される時代が来ると確信している。
以上