[本文引用]
働いている人で情報共有という言葉を知らない人はあまりいないと思う。
20年前ならまだ一般化されていなかったが、IT社会の進展とともに仕事以外のPTA活動やマンションの管理組合、田舎の社会貢献のコミュニティでも、およそ人が集まれば情報共有が話題というか課題になって来た。
そして、コロナ禍で一気に情報共有の必要性が一般化された感はある。
かくいう私もこのテーマに関しては、すでに20年以上、企業支援や組織活動の改善支援などの現場で仕事としても取り組んできたし、自社の経営でも経営基盤の中心に据えてきた。
伴走型=ペースメーカーを標榜してきた私としては、自社でやって見せて初めてお客様にご支援できると強く想ってきたので、とりわけ自社のIT活用と情報共有化には力を入れてきたつもりだ。
IT社会の進展とともに、ITツールの進化に合わせて、使うツールも変えてきた。
そしても今がどういう状態であるかと言えば、いままでに経験したことがないぐらい、情報共有することの意味やその目的が複雑化してきたと思う。そんな中での情報共有のやり方や仕組みも劇的に変わっていく予感がする。
情報共有は、経営や仕事に有益なしかるべき情報をその情報が必要な人、知っておくべき人に共有する行為だ。
この共有というのは誰が判断して、実際に共有するのかだが、日常で行われている電子メールでまずは考えてみる。
商談で今も電子メールが使われることは多い。
商談会などのきっかけで、商品を売りたいA社と、顧客候補のB社が出会った。毎回面会を重ねることもない時代だ。もちろんオンラインもあるが、決まりきった確認やスケジュール調整、資料の送付などは今でもメールが使われることが多い。
シンブルなやりとりは、A社の田中さんとB社の近藤さんが一対一でメールをやりとりする。とはいえ、今どきは一対一のメールというのが皆無だ。なぜかと言うと、電子メールのやりとりを共有する、つまり情報を共有することが当たり前になったからだ。
今でも電子メールの基本機能は変わらないが、CCとBCCである。CCは多用されている。ここには、例えば、田中さんが近藤さんに電子メールを送る際に、上司の大西さんと中島さん、技術部門の高橋さんを同報する。そうすると、相手の近藤さんは、同報されている人の存在に気づく。基本的にこれは安心材料だ。クローズ化されずに、関係者が認識できているという安心感である。当然、この同報されているメンバーで営業商談の進捗や内容も把握されていると思う。
ここで、電子メールを受け取った近藤さんが返信するときにどうするかだ。
普通は、そのまま返信するので、その返信も田中さんが発信したCCのメンバーに共有される。そして、たいていのケース、近藤さんも自分が共有したい自社のメンバーを同報する。こうやって、情報共有された世界で、情報のやり取りが進む。最近の平均的なビジネスのやり方だ。
めったに使わないと思うが、BCCもある。これは、電子メールのやりとりがCCのメンバー以外でも、BCCで共有できる。ただ、BCCに入れた山川さんの存在は、CCのメンバーと相手は知らない。
身近な電子メールの共有で説明したが、実は、世の中の情報共有は基本はこういう理屈だ。今のところ、発信者が誰に共有するかを決める。
ところが、この誰に共有するかを決めることは大変骨が折れる。ここに情報セキュリティでいうところのアクセス権限の話が出てくる。誰に伝えて、誰に伝えないか。これを俊敏に判断するのは、スキルが相当必要であるし、責任が伴う。
私はこの行為を自動化できると考えていて、今、その仕組み作りに取り掛かったところだ。
試行錯誤しながら、ペースメーカーとして、世の中に広めようと思っている。
以上