[本文引用]
子供の頃、どんなタイプだっただろうか?
友だちが、新しいおもちゃを買ったら、母親にあれ買って!と、しつこくおねだりした記憶はないだろうか?
私も時々、そういうことを言って親を困らせた。
決まって母親が、"昇は友だちが死んだら一緒に死ぬんか!よそはよそ、うちはうち"と言われたことを今でも覚えている。
子供の頃は、特に何でも欲しがるものだ。
今、日本はものがあまりにも溢れている。
今の子供は、よっぽど躾をちゃんとしないと、欲しいものが沢山あって、平穏ではいられないのではないかと思ってしまう。
これだけ豊かになると、小さい頃からの生活者としての体験が仕事にも悪影響してくる。
すぐに新しいものを欲しがるし、すぐに買い替える。
会社を運営するのには、様々なコストがかかる。無駄なコストは、シビアにカットしないといけない。
しかし、私たちの周りには、仕事に役立ちそうなもの、あれば便利そうなものも沢山ある。商売する側も巧みだ。次から次へと新商品を登場させる。そして、余計なものを買わせる。
オフィスの引っ越しをしてみたら気づくのだが、使えるのだけど、もう使いそうにないものが沢山ある。私の会社でも同じで、少し冷静に考えてみると、利益を損ねる要素になっているのは間違いない。
こういう無駄な買い物は、企業経営においては、当然に避けたいし、コスト削減の意識から言えば節約は当たり前にしたい。電気代の節約の話でも有名だが、企業におけるコスト意識と言うのは、1円でも無駄にしないことが大切である。
しかし経営者はそう思っていても、全社員に浸透させるのは至難の業である。
そういう中でも、特に最近やっかいなのが、IT活用にかかるコストである。
ITを本格的に仕事に使うようになって、30年以上が過ぎた。この間に、沢山の新商品やサービスが登場してきた。
特に、パソコンの進化は著しい。
店に行けば、5年ぐらいは使えるだろうという感覚で売られている。プリンターにしても5年は使いたいところだ。ところが実際は違う。
私の感覚で行くと、2年ぐらいが良いところだと思う。細かいことを書き出したら、キリがないが、そもそも、パソコンはソフトウェアが必要である。そのソフトウェアを動かす容量が半端ではない。プログラムの大きさの話ではなく、何かよさそうなソフトウェアサービスを色々と使おうとすると、結局なんだかんだとハードディスクの空き容量が必要になってくる。そして、快適に使うために大きな記憶容量も必要になる。
今やパソコンを使わない人は少ない。これだけ普及したパソコンだが、1年後には環境ががらりと変わるスピード感がある。
仕事のためのパソコンなのか、パソコンを使う事が仕事なのか分からくなったりもする。
これほど、進化が激しいものはITの他には今のところ、見当たらない。
少し話は変わるが、いまでもオーダーメードでソフトウェア開発をするユーザー企業は沢山ある。もちろん、クラウドサービスなどの標準化されたソフトウェアサービスを使えるのであれば、わざわざ、自社開発は無駄である時代だ。
一方、自社にしかないオリジナルなノウハウに立脚した仕事や業務のIT化はオーダーメードになる。もっとも、合理化され無駄のない仕組みになっている前提での話だが。
こういう自社開発でも、IT化は失敗するケースが多い。結局、めったに使わない機能をあれもこれも欲しくなってしまうからだ。
既製商品のサービスを使うにしても、オーダーメードにしても、子供の時のような、あれもこれも欲しがるのは戒めたほうが良い。
IT関係の商品やサービスは誘惑が多すぎるのである。
このあたりのコントロールがIT活用成功の重要ポイントの一つである。
以上