[本文引用]
今のところ、日本のDXは、もう30年以上続いているIT化とほとんど変わらない。
理由は簡単だ。
相変わらず、生活や仕事を便利にするためのDXばかりが今目立つ。
私は以前からこのブログにも書いてきたが、日本のように出来上がった国は、不便で解決しないと生活に支障をきたすようなことは限られている。
日本は、世界の新興国や発展途上国などの視点から見れば、十分すぎるほど便利で機能的な国なのである。
このことは、海外に行ったことがあっても、先進国しか知らない人はなかなか分からない。
もちろん、日本の高度経済成長期に入る前ぐらいの状態の国は、世界には沢山ある。今の大人でも、子供の頃に日本の昔を体験していたとしても、今の新興国などの現状は知らない人も多い。
だから、世の中を変える役割を果たすべく活動する多くの大企業は、SDGSやCSRを錦の御旗に掲げているが、事業の本質は、今より便利に今より機能的な何かを創ることに一意専心である。視野が狭いとしか言いようがない。
そんな中、一つ、今の日本で不便なことを挙げるとすれば、高齢社会での高齢者の生活、ハンディキャップを持った人たちの生活である。こういう部分を最優先で変える必要がある。この領域でのイノベーションは期待したい。
特に、前者は、世界で初めての体験をしている日本だから、ここをやり切るのは世界にとっても価値がある。
私は、日本で意味のあるDXを実現するためには、とにかく無駄をなくすこと、そして、見える化を徹底的に進めること。これを優先するのが一番良いと思う。
例えば、最近、オフィスの引っ越しの際につくづく思ったことがある。
それは、原状復帰という仕組みだ。
これは法律で決まっている訳ではない。ビルのオートナーと借り手の取り決めである。賃貸する際に、原状復帰条項も織り込まれる。
これは新興国のベトナムでも似たようなものだ。ただ、ベトナムの方がとてもシンプルで、こちらは、オーナーが言うのは、間仕切りをなくしたり、新たなものを追加したりした時に、これを元に戻す。という程度の話だ。
日本の場合も原則そうなのだが、資源の無駄遣いと感じることが多い。今回、数か月で引っ越すことになった。考えてみれば、天井も壁も床もほとんど傷みはない。まだまだ使えるのだ。
新品ではないが、十分にきれいなオフィスだ。それでも新品に交換する必要があるとなる。
もったいない。
金銭的な損得ではなく、単純に資源の無駄遣いであると感じる。
これを無駄をなくす仕組みで考えてみる。
原状復帰の判断を、次の借り手に委ねる。仮に1年に一回平均で借り手が変わっていったとする。今どきの内装は、昔のようにタバコのヤニが付着する時代ではないので、最低でも10年は持つだろう。ならば単純計算で、10社で割り算すればよい。
これをITを使って仕組み化するのは簡単だ。もちろん、これは単純化した話であって、会議室などの間仕切りがあった場合は、少し話は変わってくるが、それは、新しい借り手が追加する場合は、当然、その借り手の負担になるから、特段問題はない。
いずれにしても、これを日本全体の仕組み化をすれば、相当な資源の無駄遣いが減るだろう。ただ一方で、産業規模は縮小する。
これは他の業界、他の事例でも一緒でそういう問題は山もりである。
日本が真のDXで成功する国になるのであれば、こういった無駄を徹底的になくすることである。同時に見える化も重要だが、これについては、別の機会に書こうと思う。
以上