[本文引用]
中小企業には中小企業の仕事のやり方がある。
もちろん、それは強みとなるものもあれば、弱みとなるものもある。
有名なSWOT分析でもすれば、S(強み)とW(弱み)はすぐに見える化できるのも中小企業の特徴でもある。
そして、圧倒的に弱みが多い。だから、大企業や公的な中小の支援組織との関係性が重要にもなってくる。
あまりにも言い古された言葉だが、元請け下請けの構図の下請けの立場の中小企業が大半である。これは、日本だけのことでもなく、世界共通であり、大と小、上下の関係は、人間社会にはつきものである。
大きい方が、力が強い。象徴的なものが資金力と人材力だろう。当然、知名度も違う。BtoBであれば、エクセレントカンパニ-でも生活者は知らないことも多いが、BtoCであれば、社会常識と言っても良いぐらいその存在は知れ渡っている。
コンビニを運営する企業名は日本国民誰でも知っている。一方で、小さな田舎町の小売店の事は、そのエリアの住民しか知らない。
求人力にしてもそうだ。“寄らば大樹の陰”が長年続いている日本では、新卒は、大企業に向かう。
やはり、生活者として認知している企業が就職人気ランキングでは、いつの時代も上位だし、それに加えて先行き不透明、不安定の時代には、安定性が選択の時の重要なポイントになっているようだ。
ここまでは、そう目新しいことを書いている訳でもないが、私も何度も情報発信してきたが、これからは、大企業で一生働く人はごく少数派である。もともと、働く人の70%は中小企業で働いているのが日本であるが、一生大企業で働く人は、おそらく10%以下になって行くだろう。状況次第では数%になるだろう。
それだけ雇用の流動化は当たり前になってきているし、長くなった人生、変化というのは付き物である。必然的に個人で自立して活動するか中小企業で貢献するかの選択肢になってくる。
一般的に常識として、大企業の人が中小企業で簡単に通用することはない。このことは多くの人が知っている。
知っていても、その当事者になると、通用しない理由がなかなか分からない。仮に一度トライしてみて、失敗して気づいたとしても、体がついてこないのだ。頭ではわかるが、実践ベースではできないという意味だ。
人間はどんなに優秀だったとしても、使っていない筋力は衰える。ビジネス筋力の鍛え方が大切なのであるが、今回はここには深く言及はしない。
なぜ、通用しないかには幾つかの原因がある。
一番、大きいのは、大企業で仕事ができていたつもりになっていても、実際は、個人のスキルとしては大したことがなかったというケース。
極端に言えば、昔の大企業は入社してしまえば、あとは、大きな失敗がなければ、終身雇用に守られて、定年までという仕組みだった訳で、いまでもこの名残が残っている会社は沢山ある。
そうすると、入社後に自分磨きが不十分でも、長年やっていれば、それなりに仕事ができるようになる。
つまり、仕事ができていたという錯覚である。こういう人が大半だろうと中途組と接していて今も変わらずそう思う。そして、何よりも大切な事は、中小では何でもできた方が良い。
中途の人が入社して、いきなり機能することは稀だ。それは、自分が周囲に支えられてきていた状況を中小で再現するのはとても困難だからだ。
仮に実現できたとしても大企業だから成立したものが沢山あり、中小で実現するには、あまりにも冗長である。つまり、それがコストなのである。
中小では、できるだけ自分が些細な仕事でも、新入社員レベルがする仕事でも、自分が出来た方が良い。
話は変わるが、これは、70歳になって、一人暮らしになって、そうじ洗濯料理ができるかという話にも似ている。
そういう意味で、特に男性は、シニアになる前の自立が、生活面、仕事面においても必要なのである。
以上