[本文引用]
最近、気になることがある。
それは、ネットで叩かれる人のことだ。
実際は、ネットの情報発信の場に私が触れる機会が増えたから、そう思うのもある。
ネットで叩かれる人がいるということは、ネットで叩く人がいる訳である。
そもそも、このネットで叩くと言うのはどういう話なのか?
感覚的なものでいうと、世間一般で流行り言葉の炎上だろう。有名な人や芸能人の間では、避けて通れないことなのかもしれないし、企業でも大クレームと炎上は密接だろう。
これが、IT社会の特徴の一つであるのは間違いない。
人間は、そもそも、直接言うよりも間接的であったり匿名であったりする方が、他人に文句は言いやすいし批判もしやすい。特に匿名になると、言いたい放題になる人もいる。
こういう人間の弱さが増幅されるネット社会と言うのは、それなりのリテラシーを身に付けた人でないと、トラブルに巻き込まれるしストレスが溜まる。また、知らず知らずに加害者になっていることもある。
どんな世界にも流行言葉がある。
だから、このネットで叩かれるというのは、今や有名人の代名詞のようになりつつある。
ITに40年近く関わってきた私は、こんな世の中で良いのかと憂えている。
言論の自由というのがある。
しばし、ネットの社会は、有名なSNSでもそうだが、言論の自由と情報のコントロールや情報統制の狭間を行ったり来たりだ。
要するに、言論の自由だと言って、街頭で抗議デモをする、書籍で我がの主張を発表する。こういった世界と違って、ネットの世界は、危険が多すぎる。
影響範囲は底知れないし、しかも、ネットで発信したことは、永遠に残る可能性がある。君子、危うきに近寄らず。ネットが一般社会でも使われるようになってまだ20年そこそこ。
まだまだ、人間がこの得体のしれないネット社会で健全に利活用できるほど、適応していない。
だから、構図的には、ネットで叩かれる人も、心当たりがなくても、ネットで叩かれることをたたかれる前から心配して、そういう発言をしたりする。
こんなこと書いたら、叩かれるかもしれないから・・・。この前、こんな投稿したら叩かれちゃったよ。ネットで叩く、叩かれるが日常会話になってはいまいか。
私は常々、ITを健全に使う、健全な社会の構築のためのツールとして使う、そのためには、人間がIT社会に適応するスキルを磨く必要があると説いてきた。
そのためには、やはり、ITを使う時の心構え、注意点、マナーなどを徹底的に小さい頃から、教える必要がある。ただ、小さい子供にはまだ対処できる時間はあるが、この20年で、何の学びの機会もなく、使い始めた若者、中高年、有名人。こういう人たちの世界では、無法地帯と化す可能性がある世界だ。
バーチャル空間で無免許で車を好き勝手に運転しているようである。
事故が起こらないはずがない。しかも、人間はバーチャルの世界とリアルの世界を混同して認識する可能性がある。また、リアルではコミュニケーションが苦手でも、バーチャルの世界では好き放題では、明らかにリアルの世界に支障をきたす。
もちろん、こういう両方の世界を使い分けることによって、解決できる課題は多い。例えば、高齢社会の問題などが典型だ。しかし、ネットの世界で起こっていることを見るにつけ、今のところは、良い方向には向かっていない。
仮に、ネットで叩く、叩かれるに慣れた人が、リアルの世界でも同じ気分で活動したとしたら、とてもめんどうくさい時代になると憂えている毎日である。
だから、私は、叩く人にはもちろんならないし、叩かれる人にもなる気もさらさらない。
以上