[本文引用]
最近、とっても新鮮に感じたことがあった。
それは、“初心忘るべからず”。
子供の頃から馴染んでいる言葉である。
考えてみたら、折に触れて、口にしてきたと思う。声にすると言うよりは、心の中で念じてきた言葉ではないだろうか。
実は、あるアーティストの本の編集をしていて、このフレーズに触れた。観阿弥、世阿弥の能の世界での初心忘るべからず。稽古は強かれの観点での話である。
詳細は、新刊に期待頂くとして、私なりの初心忘るべからずを考えてみる。
そもそも、初心とはいつかである。人生全体で言えば、子供の頃かもしれない。よく子供の頃何になりたかったか?という話題は、今でも時々することがある。
自分から発信することもあるが、たいていは、人との会話で質問されることも意外と多い。
私の場合は、小学生の頃は、大工さん。中学生ではタクシーの運転手。そして、高校生では、ラーメン屋かすし屋。なんどもこの話をしていると、本当にそうだったかというよりも、自分自身に刷り込まれて、自分が40年近く働いてきて、考えてみたら、この初心とそれほどブレていないことに気づく。
建築の仕事はしているし、ベトナムでは和食レストランを経営していて、寿司は普通にメニューの中にある。また、ラーメンにしても、今は止めたが、数年間ベトナムで焼肉屋をしていて、その時にラーメンも出していた。
タクシーについては、今のところ、仕事としては関りはないが、私はタクシーの運転手さんと話しするのは好きだ。子供の頃からそう思っているから、余計に話したくなるのかもしれない・・・。
自分がこの先で、タクシーの運転手をしたら、どんなタイプになるだろうかと、時々考えることもある。
働きだしてからはどうかと言うと、やっぱり、起業した人間なので、なぜ、起業したのか?という質問は、いままでにも相当受けてきた。
その度に、大きな企業で働きたくなかったから。組織に馴染まないと思ったから・・。こんな定番で答えることが多かったが、本質的な事ではないのではとずっと思っている。
では、起業の動機の本質的な事は何かといえば、両親の仕事ぶりが身についているからだと思う。専業農家で来る日も来る日も、農家の仕事に従事する。少なくとも、私の目には、ものづくりという視点からの仕事しか見えていなかった。
だから、農業に限らず、本質的には、ものづくりに強い意識があると思う。だから、このブログでも何回か書いているが、大学を卒業して、建設会社に入社した。希望通り、現場監督であったならば、もしかしたら、ずっと、勤めていたように思う。
特に、ゼネコンの経営者との付き合いの中で、所長時代の武勇伝などを聞いていると、とてもうらやましく、今でも思う。住宅を作ることもそうだし、本を創ることもそう。私の感覚では、ものづくりである。
一見、企業の支援業をしていると、ものづくり派には思われないことも多々あるが、根っこは、ものづくりが体に染みついている。
あと、もう一つの初心とは何か?であるが、創業して5年目ぐらいに定めた経営理念がある。この数年、見返すときが多くなってきたが、正直、とてもシンプルで気に入っている。引用すると、次のようになる。
〇社会貢献への意識を持って、社会問題に真摯に取り組む。
・環境問題への取り組み
・ベンチャー企業、中堅・中小企業支援
・女性・高齢者の労働環境の整備
〇未来志向型ニュービジネスの創造
・新サービス形態の提案
・新総合教育サービスの創造
・新規事業コーディネート
やはり、“初心忘るべからず”というのは、とても新鮮でよい言葉である。
以上