[本文引用]
ここまで来るともはやオオカミ少年!?
10月5日の日経産業新聞に、大きく、ベトナムの地下鉄の開業が延びたと特集されていた。
この記事への反応は、ベトナムとの関り度によって、大きく違うと思う。
ベトナムは、コロナ禍を挟んでいるとはいえ、経済成長面でも国の勢いでも東南アジアの中では群を抜いて元気だ。だから、ベトナムの噂だけを知っている人にとっては、一体何があったのか?という記事だろう。
確かに、初めての地下鉄の開通がおくれるのは大ごとである。記事には、原因を色々と書いてはいる。もっともらしい理由だ。
実は、ベトナムに長年関わっている私たちから見たら、正直、やっぱりな。という感想になる。
ただ、流石に今回こそ、事前のアナウンス通り開通と思っていただけに、結構思いは複雑だ。ベトナムに深くかかわっている人は皆知っているが、この地下鉄の開通は、10年以上前からの悲願であり、いよいよ開通という発表があって後に延長、また遅延、こういうことを何回か繰り返し、今に至る。
どんどん先送りされ続けていたわけだ。
それでも実際、工事が始まるといよいよ開通かという機運は高まる。特に、商業の最大都市ホーチミンは日系ゼネコンなど関わっている。順調に建設工事は進捗しているものと思っていた。
こういう新興国の出来事に遭遇する度に、日本の建設工事のプロジェクトマネジメントが群を抜いて、世界のトップレベルであることを再認識するのである。
単に納期を守るというレベルではない。
ベトナムや中国などと仕事していれば、皆が痛い目に合う。そもそも、まだまだ、これらの国には、納期と言うことに対して、とても甘い。
建設工事に限らず、プロジェクトマネジメントは、QCDのトレードオフが生じてしまうのが、難題だ。日本の基準で考えると、このQCDは全部達成して当り前。一方で、新興国では、全部を首尾よく達成するのは不可能に近い。
特に、納期に関してはルーズだ。こういう背景をベトナムでも痛いほど実感しているので、今回の地下鉄の開通遅れも、またかと思うわけである。
では、この先、これからの国が、果たして日本のようにQCDをバランスよく達成できるように進化するのだろうか?ということを考えたくなるが、正直、なかなか難しいように思う。
簡単に言えば、これは、仕事場だけの問題ではない。長年積み上げてきた社会の仕組みとも言えると考えている。
例えば、日本の場合、小さい頃から時間を守る、約束を守る。期限を守ることを躾けられる。当然、子供の時は、仕事するための教育ではなく、徐々に社会に適応していくためである。
日本の社会は、基本的に、時間にきっちりし納期を守り約束を守ると言う部分が根底にあり、社会秩序であったり、機能的な生活環境であったり、便利な交通機関があるのである。
もちろん、マナーやチームワークという部分もある。結局は、産業人材としての教育や訓練のベースに社会的な躾ができるような仕組みが日本にはある。ただ、これは最近はだんだんと乱れていると思う。30年前から比べると、若者層での乱れぶりが顕著である。
規律正しい秩序ある社会は、メリットだけではないとしても、こういう土台を再構築することも今の日本には必要な事で、それが出来ていけば、世界は、日本をリスペクトし続けると思う。
以上