[本文引用]
近藤さん、コミュニケーションは得意ですか?
もし、こう聞かれたら、少しは得意になりました。と答えるのが正直なところである。
今は、経営者はじめ、様々な世代、色々なタイプの人と話をする機会が多いので、コミュニケーションは得意な人という印象はあると思う。
実際は、葛藤の日々である。以前もこのブログにも書いたことがあるが、私は、面と向かって話をするのが、精神安定上一番楽で、メールやチャットのやりとりは、けっこう疲れるタイプ。
もっとも、SNSがなかった時代と言うのは、まだシンプルで、eメールはほとんどビジネスにしか使わなかったから、切り替えが出来ていた。
つまり、ビジネスモードのオンオフだ。
ちなみに、ビジネスメールというのも、結構大変で、紋切形の定例文章のようなメールを私は書かない。というより、書けない。
形式ばり過ぎるのは好きではなく、結構自由スタイル。それこそ、品格の高い企業に対しては通用しないようなメールだと思う。
私は、それでも、やや砕けたメールを使うのは、根本的な性格からだと思う。自覚はあるのだが、妙に真面目なところもあり、そっちにハマると、コミュニケーションがギスギスすると思っているところもある。
そして、今は、SNS全盛期。
ビジネスとプライベートが入り混じってのコミュニケーションが当たり前になった。学校時代で言えば、教室で真面目に先生の授業を受けながら、それが終わったら、先生とチャットでくだけた話をするようなものだ。
こういうのが今はビジネス界で当たり前になってしまった。私は以前から、拙著にも書いたことが何回かあるが、基本的には、SNSはビジネスに持ち込まないほうが良い。
オンとオフの切り替えが曖昧になるし、人間関係がラフになっていくので、ビジネスではあまり使わないほうが良いという意見だ。
実際、情報セキュリティの観点も加わって、仕事でSNSを使うのは、大企業では禁止しているところも多い。
私は、仕事柄、外部の人と、SNSでやりとりすることは多い。頻度で言えば、私ぐらい使っている人はそういないのではと自覚している。SNSの投稿も続けているからなおさら、コミュニケーションは難しくなる。
まあ、ある意味、自分がとことん使ってみて、このSNSの使い方や新たなるコミュニケーションに関しての、自分の見解や人の役に立てそうなことを見つけようという意識がある。
それは、情報の活用や組織におけるコミュニケーションについて、専門的に、企業のコンサルやアドバイスの仕事もしてきたからである。
そんな私が、実際、いまほど、コミュニケーョンが複雑で難しい時代はかつてなかったのではと思っている。今のところ、ますます、良くない方向に進んでいるという危機感がある。
ダイバーが唱えている人間が密に付き合える限界人数はおおよそ150人であるという説がある。今、SNSなどを上手に使うと、一見この上限をはるかに超えた人と付き合っているような感覚に陥る。ただ、これはあくまでも、感覚だ。
相手が様々な情報を投稿する。それをたまたま見てしまう。自分にとってポジティブに取れる時もあれば、その逆もある。直接コミュニケーションしている訳でもないのに、気分的には、会話しているかのような錯覚にもなる。
これだけでも、すでに人間の限界を超えたコミュニケーションを生んでいる。それに輪をかけて、自分が誰かと接点を持とうとしたときの労力が、SNS前の時代に比べると、とても簡単になっている。
これを逆に言うと、その時代には、私に対してもコンタクトする機会がなかった人でも、気軽にアクションをする。全面否定ではないが、真面目な私としては、一つずつ、返答しようとする。これが蓄積されていくと正直疲れる。
簡単に言えば、私が、社会人になったころにあった固定電話に戻りたいのではなく、携帯電話ぐらいがちょうど良かったと思っている。
とは言え、コミュニケーションツールは、多様になるばかり。自分がどうするかを決めるしかない。そんな心境である。
以上