[本文引用]
都会では近所の人間関係は、構築しにくいと言う。一方で、田舎ではご近所さんとの付き合いは、濃密である。
私の実体験からも、世間でいうこの違いは、全く、その通りだと思う。
最近、都会と田舎の両方で生活する人が増えつつある。まだ少数派だが、テレワークやダブルワークの進展とともに、更に増加すると予測される。
便利で生活に必要なものや遊ぶ環境など、様々なものが揃っている都会とは違い、田舎は、それに比べると不便だ。
そして、自然は沢山あるが、都会のようなエンターティメントや遊び場はあまりないのが田舎だ。この対極にある環境を交互に体験するというのもなかなか面白そうだ。
私の場合は、18歳まで、ど田舎。19歳からは、都会の神戸。もっとも、神戸は大都会ではないが、それなりの都市である。
私の田舎も、子供の頃から比べると、かなり、進化してきた。大学で、神戸に出てきてからは、盆暮れなどを中心に、田舎に帰省することを繰り返して、早や40年近く。こういうスタイルでは田舎の滞在は長くても2、3日だから、田舎体験はわずか。
昔から、私たちの田舎出身同士の話題で、田舎は2、3日いるととっても快適だが、1週間もいると、不便さやすることのなさで嫌になる。これは都会生活が長くなればなるほど、そういう感覚が強くなる。慣れとは怖いものだ。
さて、今回の本題に入るが、やはり、田舎と都会の違いの大きなことの一つ、それは人間づきあいだろう。
田舎で高層マンションや住宅団地は存在しない。小さなマンションやアパートメントはあるが、基本は田舎では一戸建てだ。メインのイメージは農村である。もちろん、中山間部や海に近ければ、様子は変わるが、基本は、一戸建ての家が建ち並ぶ。
と言っても、都会の郊外にあるような、住宅団地のような場所ではない。私の子供の頃は、堤防沿いに基幹の道があり、それに沿って家が並んでいた。いわゆるご近所さんである。家の玄関の反対側は、畑が拡がっているので、こちらのとなりは、500メートル以上離れている。
こんな感じの生活と言うのは、家を一歩出れば、往来に出るということであり、人数は少ないが、ご近所さんとは、自然と交流が深まる。
一方で、都会の生活はそうではない。私は、神戸のマンションで40年近く住んでいるが、ご近所さんの感覚はあまりない。よく言われることで、隣は誰が住んでいるのやら。に近い状態だ。
でも長年の経験上、これは自然の話で、同じフロアーでも、20世帯はある。仮に、田舎だったら、小さな村の感覚だ。マンションの棟一つで、300世帯ぐらいある。こうなると、名前を覚えるのも難しい。
ただ、エレベーターでは、乗り合わせたら挨拶はする。これ以上でもこれ以下でもない。唯一のつながりではないが、子供が小さい頃、同級生だったら、親同士はその間は、仲良くなる。
もちろん、一生の付き合いで続くケースもあるが、マンションは田舎とは違って引っ越しも多い。
こんな感じで、私の実体験で考えると、田舎のとなりと都会のとなりというのは随分違う。
これから、田舎出身で都会暮らし、そして、再び田舎という人も増えるだろうが、もっと多いのは、都会で生まれ育って、はじめて田舎にチャレンジする人も増えるだろう。そんな時、おとなりとの付き合い方、とっても新鮮だと私は思う。
以上