[本文引用]
新入社員にとって、上司とは特別な存在だ。
とは言え、会社に入って働くと言う事は、理屈上、同期以外は全員が上司である。
就職活動で、たいていの学生は懸命に会社を選ぶ。今時、大企業でもなければ、新興系の勢いある会社のこの社長と働きたい、と思って入社しても不思議はない。
私は、昔から採用活動の場などで話続けている。
"会社は選べたとしても、上司は選べませんよ"
これは、私が社会人になった時の経験がベースにある。20代で3社、会社員として経験したが、どの会社でも上司は選べていない。
当たり前の話である。
すでに組織化されている部署に配属された時から、上司が必然的に決まる。もちろん、上司が途中で変わることもある。
私の場合は、2社目、3社目は、小さい会社で、社長と直に話をして、入社を決めた。
だが、20代の若造の私が、流石に社長と直で実務はしない。だから、間に、後から上司が新任で着任したことが何度かあった。
はっきりものを言う私でも、流石に新人の頃はおとなしかった。私が1年目の時に、不意の骨折で、2カ月半休んだこともあり、大人しくしているしかなかった。しかし2年目ともなると、そのうち、だんだんと、上司のアラが見えてくる。
私が23歳、上司の中心は、30歳前後。この時思ったことは2つ。なんか毎日毎日、ザ・サラリーマン(その時代の呼び方である)でつまらなそうな人達だな。もう一つが、仕事ができる人は、20名ぐらいの部署に3人しかいなかった。今でもこの感覚は変わらない。
振り返ってみれば、ある意味、私の人生のメンターのようなお付き合いでもあった。ポイントポンイトでその当時、言われたことは、今でも忘れることはない。
一部は、拙著“仕事は自分で創れ”や“バカモン”にも書いた。
私は、30代から思っていることがある。上司たるものは、部下に接している時に、感謝されるのではなく、20年、30年経ってから、その部下が成長した暁に、分かってもらうぐらいでちょうど良いと。
言い方を変えれば、私が会社を創めて、これから上司になってマネージメントする部下に教えてきたことでもある。
まあ、20代後半を振り替えると、私はとにかく上司にかみついた。
いわゆる自分の感覚と正論が頼りだった。もちろん、この時の事は、30代で会社経営をするようになって、振り返ると大分反省することも多々あった。
上司には上司の立場がある、ということではなく、その立場になって経験してみないと分からないことが沢山あったのだ。なんでもそうで、子供は親になってみないと、親の苦労や気持ちは本当には分からない。それと、若いうちは特に、上司に対して、不満が溜まる。粗さがしは幾らでも出来る。
世の中には、上司がイマイチであったり、本当にどうしようもない上司の部下になって、悩んでいたり、ストレスを溜めている人も多いだろう。
昭和の激しい時代のように、理不尽な環境があたり前にあり、とにかく我慢しよう、とにかく忍耐だ。こんな時代はとっくに終わった。
ただ、変わらないことは変わらない。会社組織に100人いるとする。2:6:2の法則通りである。仕事ができる上司は、どんな組織にも多くて2割程度である。こんなことは、世間に関心を持てばすぐわかる。
つまり、1/4の確率でしかないのである。自分が配属された部署の上司が仕事ができる人である確率は。
これは大企業でそうだ。中小になれば、もっと下がる。要するに、これは運不運でもない。確率の問題である。
できる上司に巡り合ったら、一生の付き合いができるかどうか。そうでないなら、反面教師として学ぶ絶好のチャンス。
若いうちは、むしろ、こちらをお勧めする。そして、自分が、イマイチ上司にならないような、精進をすることである。
以上