[本文引用]
医者の不養生と言う言葉がある。
医者でありながら、自分の病気や健康に無関心であったり、ついつい、検査のタイミングを逃してしまっていたりのことを言う。
医者ならそういうことを、絶対に気づきそうに思うのだが、人間はそうではない。
実は医者に限らず、人間と言うものは自分の事は気づきにくいものだ。もちろん、これは気づく気づかないだけの問題でもない。この背景にはとても複雑な感情や事情が混ざり合っている。
よくあるのが、自分に限って悪いことは起きないという自信タイプ。時には、過信にもなる。
あとは、ついつい、他人の事ばかり気にかけて、自分の事は後回し。
あるいは、単なる楽観思考。ある意味、ノーテンキな人。
あとは、責任感が強すぎて、自分の事をかまう時間がない人。
実に色んなタイプがいるが、総じて自分の事は後回しにする人が多い。
これを解決するのは簡単で、医者が医者に診察をしてもらえばよいのだが、なかなか、口で言うほどは簡単ではない。
話は変わるが、会社という組織体も実に不思議なもので、問題や課題は、常にある。きっと、永遠になくならない。
もちろん、もぐらたたきとは違うが、健全に改善に取り組む企業でも、課題は次々と生まれる。
それはシンプルに言うと、上昇スパイラルで活動している限り、課題は永遠に生まれる。また、会社で言えば、経営環境が激変すると、それに適応するための課題が突然生じることになる。
まあ、いずれにしても、課題は無くならない。
私も痛いほど経験しているが、お客様の企業の課題解決は沢山支援してきた。
業務改善から始まり、幹部の意識改革、社員教育、IT活用、人事評価制度の改正など。一見、とても難しそうな仕事に思えるが、実は、現状を外部から診断するのはそれほど難しくない。
先ほどの医者の話と一緒で、外部から問題を洗い出す事は比較的簡単である。それは、ヒアリングやアンケートで十分な結果が得られる。そこで出てきた問題点を整理し、解決するべき課題として、改善計画を策定して、実践する。
あとは、PDCAをひたすら回す。
それを上昇スパイラルにもっていく。こんなストーリーである。
紺屋の白袴という諺もあるように、人間は昔から、自分たちの事は後回しにするし、自分たちだけで、問題点を洗い出し、課題解決することは難しい。
そんな時、外部から見てもらう。
極端な話し、外部の人がそんなにスキルが高くなくても、粗さがしが出来る人は意外と多い。
出来れば、外部の人は、言うだけの人でなくて、自らも実践する人を望みたいが、世間的なバランスで言えば、有言実行の人は少ない。
感情的には、有言実行の人を望みたいが、そもそも、先ほどの医者の例のように、名医でも自分の健康には無頓着な人も多い。
まあ、あれこれ書いたが、言い方を変えれば、言うは易し行うは難しの諺通りである。
今、会社経営の環境は激変している。
これはますます加速される。
単純に考えて、顧客などのステークホルダーの外部の声を、単なる声として聴いてみることは、とても大切な事であると今更ながら実践する。
あなたに言われたくないという気持ちも芽生えるが、その感情を除いて、外部の声に耳を傾ける。
それでいながら、やっぱり、それを当事者として実践することの難しさも実感しながら、外部の声を活かしていけるようになりたいものだ。
以上