[本文引用]
長年仕事していると、どんどん退化していく能力がある。これは、仕事だけとも限らない。
それは、思い込んでしまうという癖や習慣だ。
ある意味、本能的なところから生まれるものではないかとも思う。
どんな人でも、基本的には、安定的に穏やかに生きていきたい。精神的にはストレスを溜めたくない。変化は少ない方が良い。
昨日、上手くいったことは、今日も明日もそのまま、上手くいってほしい。一回、良い結果が出たら、できる事なら、そのプロセスを反復したい。
毎回、昨日までも、いままで上手いこといったのに、今回は、分からない、失敗するかもとは思いたくない。できるだけ、余計なことは避けたい。心配も減らしたい。こんな風に、人が考えるのは自然だと思う。
一方で、ハイレベルの現場では、こういう思い込みは、たいていの場合、トラブルを引き起こす。今までそうだったから、こんなことが起こるとは想定していませんでした。手順通りしたので、問題ないと思っています。いつもと同じだから、そんなに慎重には対応していません。
要するに、今までが大丈夫だったから、今回も大丈夫と思う。こういう思い込みが習慣化されると、知らず知らずのうちに、とんでもないリスクが増大していくことになる。
これは、健康面においてもよく聞く話だ。重要な早期発見が遅れて手遅れになる人の思考回路、行動パターンに多い。まずは、大丈夫と思い込んでしまう訳だ。
こうなると、自分から、念のため、もしかしたらと健康診断を受けることはめったにない。第三者の強い勧めや、何かのきっかけで、たまたま、運よく、早期発見につながる人がたまにいる。本当に運が良くて良かったですねとしか言いようがない。
自分自身の思い込みにも当然、気を付けていきたいが、自分一人で完全にできるものではない。だから、周囲の人に頼らないといけない部分はあるし、相互牽制は有効だ。
この相互牽制のコツは簡単だ。
人を性弱説で見て、どんなに仕事ができる人に対しても、反対の意見、反対側からの指摘をするということだ。
質問でもよい。言い方を変えれば、第三者チェックをどうするかだ。
私は、PDCAは仕事の基本の基本だと確信している。その中でも、Cのチェックができる人が、最高に仕事力がある人だと考えている。
いくらプレゼンが優れていても、企画力が突出していても、現場力が凄くても、PDCAができない人は、真に仕事ができる人とは言えない。これは、日本人でも外国人でも同じだ。
仕事力が高い人というのは、当然、品質、納期、コストに対してシビアである。この実現には、CHECK無くして成立しない。私達が生活している中でも、気付けることであるが、ハイサービス、高品質の世界には必ず、仕組み化されたチェック機能や、個人スキルの突出したチェックが機能しているものである。
飛行機、交通インフラ、病院、高級レストラン、身近などれをとっても、チェック機能が機能しているから実現できている言い切って過言ではないのである。
以上