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この30年間のICT環境の変化をつかむ

ユーザー
サイト管理者
日付
18年7月17日 17時17分
元記事URL(外部サイト)
https://ameblo.jp/kondoh-blg/entry-12391412043.html

[本文引用]

この30年を俯瞰すると、ICTを取り巻く環境は

「激変」という言葉が相応しいほど大きな変化の連続であった。
MS-DOS(エムエスドス・マイクロソフト社が販売していた

オペレーションシステム)ベースのPC(パソコン)が登場し、

オフィスにも家庭にもICTが当たり前のように普及していく。
自動車や家電などの登場と同様に社会生活へも大きなインパクトを与えた。
しかし、その進化の過程は急流の如し。

ドッグイヤーという言葉がはやったが、まさに1年間で数年分の進化を

遂げてしまうのが、ICT環境の特徴である。


私自身は、30年前に建設会社の電算室に配属され、

社会人のスタートをきった。大型汎用機のシステム開発からOS管理、

ワードプロセッサーを使った設計書作成までシステム開発者として

多くのことを経験してきた。

ブレインワークスを設立したのが1993年である。

設立当初は、Windows3. 1上で動作する、
簡易データベースソフト「Access(アクセス)」を使って中小企業向け
システム構築サービスをはじめた。パッケージソフトの開発もいくつか手がけた。
現代のICT環境を考えると、懐かしくもあり、微笑ましくもある。
しかし、あの頃からまだ20年強の時間しか流れていない。
20年でここまで変化と進化を遂げる産業は、他に例はないだろう。


当社は創業当時、事務所を開設せず、在宅勤務スタイルでスタートした。
その後、企業経営の方針として在宅勤務スタイルで通すつもりだった。
当時はスタッフと毎週1回、私の自宅で打ち合わせを行うだけ。
そのときに利用したのがパソコン通信である。
PCにモデムを接続し、一般の電話回線(アナログ回線)でサーバーに

ダイヤルアップ接続する。今の電子メールのような役割である。

一般の電話回線だから、当然通信に時間がかかる。
パソコン通信をしている間は家庭の電話は使用できない。

その逆もしかりだった。
スマートフォンはおろか、肩から吊るすような大型の携帯電話しか

存在しなかった。インターネット利用が一般的でなかった時代である。

 


創業間もない頃、旧知の不動産会社社長の依頼を受けて

不動産検索サイトを構築したことがある。

その社長は、神戸エリアの大学に合格した地方の学生に

物件を紹介していた。

物件確認のために地方から何度も神戸に足を運ばなくても

いいようにしたいという依頼だった。今でこそ当たり前のようになった

不動産検索サイトであるが、インターネット黎明期には、

そのようなサイトは存在しなかった。

当然今のように、Yahoo!地図やGoogleマップなどの

地図情報サイトは存在しない。
地図をデータ化し、物件情報ごとに貼りつけたものだ。
 

その後、通信技術の急激な進歩により、高速で大容量情報の

送受信が可能な、いわゆる「ブロードバンド化」が一気に突き進んだ。
そのことにより、世界中をつなぐ巨大なコンピュータネットワークである

インターネットの利用が当たり前の時代となった。

企業はインターネットの利用を前提にしたICT活用に取り組む

必要に迫られるようになった。
今では、いつでも、どこでも自由に、スマートフォンやタブレットを使って、

インターネット上でウェブ検索や電子メールができる。

しかも、世界中とつながっているのだ。今、インターネットを

利用している若い人たちは、そのことがいかに凄いことなのか

感じることはなかなかできないだろう。
しかし、パソコン通信を経験してきた私たちにとっては、

まさに隔世の感がある。


情報技術のことをITと呼びはじめたのは2000年頃であろう。

当時、中小企業の経営者が「IT化しないと乗り遅れる」と

危機感を煽られ、IT導入を目指した。

しかし、数多くの企業がIT化に失敗した。

当社が『だから中小企業のIT化は失敗する』を発刊したのは

まさにその頃である。
「システムの前に人ありき」と提唱し、IT化以前の

本質的な課題解決を促した。
当時の反響は大きかった反面、ITに振り回される

中小企業の現実も数多く目の当たりにした。
 

2005年頃から情報通信技術全般を指す言葉として、

ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)

という言葉が使われるようになってきた。
当時、総務省がそれまでの「IT政策大綱」を「ICT政策大綱」に

改称したことが影響しているようだ。
しかし、たんなる言葉だけの問題ではない。

業務の自動化、省力化、効率化だけを目的にしたのが
IT化の時代であるならば、ICTの時代は新規顧客開拓や

新規商品開発、事業アライアンスの構築などまでもが視野に入ってくる。

どれも中小企業の経営課題ばかりである。
だからこそ、これからの時代においてICT活用が極めて重要な

存在となるのである。

 

 

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(近藤 昇『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』

 第1章ICTに振りまわされ続ける経営者

 -この30年間のICT環境の変化をつかむ より転載)