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【第1章】データマイニングは消費者のためになる?

ユーザー
サイト管理者
日付
18年7月26日 16時47分
元記事URL(外部サイト)
https://ameblo.jp/kondoh-blg/entry-12393484190.html

[本文引用]

企業活動をする上で、経営に関するさまざまなデータや情報を収集し、
分析し、無駄を排除したり、機会創出につなげる。
こういった企業努力を続けることは大切である。
コンビニでは、ポイントカードやPOSデータを蓄積し、
解析していることはすでに説明したとおりだ。
どういった顧客が、いつどんな商品を購入したか。
その日の天気や曜日、時間帯を分析しながら、商品を仕入れているのである。
適正在庫を保つことが重要であり、賞味期限切れなどで
商品廃棄する無駄や欠品で商品を購入ができないといった
機会損失を防いでいるのだ。



株式会社セブン&アイホールディングス鈴木敏文代表取締役会長の
発想法と思考力に注目した、
『鈴木敏文の「統計心理学」』(2006 年3月・日本経済新聞社)は
有名な書籍だ。「仮説」と「検証」で顧客の心をつかむと。

また、マーケティングの世界では、
「オムツ売り場の近くにビール売り場を設ける」という話がある。
購買データを分析した結果、オムツの買い物を頼まれた男性が
自分の楽しみのためにビールを買う傾向が多いという分析である。

大量のデータの中から、さまざまな意味のあるパターンを
見つけ出すことをデータマイニングという。
今、大手企業がこのデータマイニングを本格的に扱いはじめている。
データマイニングから潜在している顧客を探しだし、
顧客の購入時期を見出すのだ。

顧客開拓の視点でいえば、「ネット検索」は21世紀に登場した
新たな顧客へのアプローチ手段ともいえよう。
YahooやGoogleの検索エンジンで、
自社のウェブサイトが検索上位に表示されるよう
SEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)対策を実施する。
YahooやGoogleの検索エンジンは、検索ロボットが
周期的にウェブサイト上の文書や画像を取得し、自動的に
データベース化している。その膨大なデータベースを多変量解析し、
利用者がほしいと思われる順に表示するのだ。
どういったキーワードをウェブサイトに埋め込めば、
検索上位に表示されるかを分析し、最適化するのがSEO対策だ。
自社のウェブサイトをPRしようと多くの企業がこのSEO対策を
実施している。
 


さて、データマイニングを使うと、このネット検索において
さらに先を行くしかけが可能になる。
ウェブで検索をしていると、突然過去に利用したことがある
ECサイトなどの広告が表示される。
経験している方も多いだろう。
誰がどんなサイトを検索しているのか、ECサイトを
利用しているのかをすべて記録(監視)されているからこそ
実現できるのだ。
第三者が目視で確認しているわけではない。コンピュータ上に記録され、
多変量解析されているのだ。そして、忘れた頃にサブリミナル効果のように
突然表示される広告に、過去の記憶を呼び覚まされる。
どうだろう。利用者視点に立てば勝手に記録され、解析されていることは、
心情的に決して心地よいものではない。ましてや、望んでもいないのに、
サブリミナル効果のように過去の記憶を突然呼び覚まされるのである。
利用者目線のサービスとは言いがたい。むしろ、心理的に良い感情は抱かない。
人は自分の過去を忘れるから自由を感じるものである。

その一方で、自然災害予測、農作物の天候被害予測、あるいは高齢化社会の
ICT分野などはデータマイニングの効果を期待できる。
過去に発生した地震記録や災害記録、地理的情報から次に発生しそうな
自然災害を予測する。温度、湿度などの気候や台風発生などから
農作物の被害も予測する。こちらのほうが多くの人に役立つ
データマイニングといえよう。

ICT業界全体が、行き過ぎたデータマイニングで
顧客満足度を下げるよりも、本当の意味で社会生活に役立つ方向に
もっと目を向けてもらいたい(図1 -5参照)。

 


営業は人が人に対して行うものである。
ICTによるマーケティングアプローチを取り入れて、
売上を伸ばすことも大切だが、もっと本質的なところの変革、
つまりはアナログ的な営業力強化のほうが先決である。
そうすれば、ウェブを検索するたびに不満があったおすすめECサイトが
リコメンドされるというナンセンスな顧客への
アプローチもなくなるだろう。
なんでも自動化すればよいというものではない。
最近の傾向を見るにつけ、そのことが忘れられているように感じる。

 

 

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(近藤 昇『