[本文引用]
ICTの進化、普及により会社の経営スタイルが大きく変わると考えている。
そのことをこれから説明していこう。
当社では「ネットワークが物理的または論理的に接続された状態で、
ネットワークを通じてビジネスが行われること」をオンラインビジネスと定義している。
例えば、通訳はオンラインで活用できる。
これまで通訳者は、通訳が必要なビジネスシーンに必ず同席するものという概念があった。
当社が行っている海外拠点でのビジネスにおいては、通訳が必要な場面が多々ある。
無論、通訳者が毎回同席するにこしたことはないが、コストがかかるし、
通訳者のスキルの均一性も維持できない。
しかし、オンラインであれば、通訳者は必ずしもその場に同席する必要はない。
通訳が必要な場面にテレビ会議で同席すればよいのだ。
物理的な制約を考える必要がなくなる。
通訳者は日本国内のどこにいても、在宅であっても、あるいは海外にいてもよい。
通訳者がわざわざ出張する必要がない。
テーマに適した通訳者の調整がずいぶん楽に行えるのだ。
セミナーや企業研修もオンラインにより機能性が高まる。
これまでセミナーや研修は、主にオフラインの環境で行われてきた。
当社は、研修講師やセミナー講師が直接聴講者に伝えることが大切だと考えている。
実際、私は数多くのセミナーで講演するし、企業研修を行うこともある。
直接聴講者に語りかける方が、気持ちも入るし、聴講者からの反応もわかりやすい。
しかし、物理的な制約などでそのことが難しいこともある。
そういったときに、オンラインでのセミナーや研修が行えると
さまざまな制約がクリアできる。
もちろん研修やセミナーコンテンツをリアルタイムで動画配信し、
海外や地方で聴講するということもできる。
人材ビジネスにおいても、オンラインを使用すれば、その可能性が大きく広がる。
どの企業も自社のビジネスや考え方にあった人材がほしい。
自社採用もするが、人材エージェントを利用し、そうした人材を発掘し、採用していく。
人材エージェントは、顧客の希望に沿った候補者をあまたの方法で発掘していく。
肝心なことはいうまでもなく、顧客が求める人材像と候補者のミスマッチを
起こさないことである。
それには、人材エージェントが候補者に実際に会って確かめるしかない。
しかし、スピードが求められる人材ビジネス業界では、
候補者が遠方にいる場合には、会わずに電話ヒアリングだけで済ませているのが実態だ。
テレビ会議システムを利用すれば、候補者と会って、企業ニーズと合致しているかの
判断もできるのだ。
商品を販売する企業であれば、ECにより日本中、世界中の顧客に商品販売が
可能になる。これまでに説明してきたとおり、テレビ会議システムを活用すれば
営業商談や商品説明が物理的な距離に関係なく行える。
テレワークを取り入れると、事務所の撤去、縮小による家賃の圧縮も可能だ。
持たざる経営に大きく舵を切ることも可能になってくる。他に
もやりようはいくらでもあるはずだ。
当社では、ベトナムのホーチミン、ハノイ、東京、大阪、神戸をつないだ
セミナーを頻繁に開催している。オンラインビジネスを取り入れることで、
経営スタイルを変革することができる。
固定観念を取り払い、柔軟な発想でオンラインビジネスについて
考えてみてはいかがだろうか。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第3章 パソコンもオフィスも不要な時代
-オンラインビジネスは会社の経営スタイルを変える より転載)