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【第6章】正しい顧客情報の扱い方

ユーザー
サイト管理者
日付
18年9月13日 10時25分
元記事URL(外部サイト)
https://ameblo.jp/kondoh-blg/entry-12404375361.html

[本文引用]

江戸時代の頃、商家が火事に見舞われると、主人や番頭は店の大福帳を
井戸に投げ込んでから逃げたという。大福帳は、現代で言えば顧客名簿である。
それぞれ、いくらの掛売りをしているか金額などが記載されたもので、
商売人にとって命の次に大切なものであった。現代の大福帳は
前出のとおり顧客名簿であり、顧客情報である。
現代の大福帳には昔と異なり、さまざまな属性情報が組み合わさり、
顧客情報としての重要性の重みづけがされている。
では、「正しい顧客情報の扱い方とは?」とさまざまな方に問うと
次のように答える方が多い。

「外部に流出しないよう、厳重に保管し、お客様にもその利用用途を明確にした上で…」

これは「顧客情報の保管」についての回答である。
そこまで保管に厳重さが求められる顧客情報をなんのために集めているのか?
こんな当たり前のことを再度立ち返って考えてみるべきである。

本書でも述べてきたように「データマイニング」の建前は消費者が
より利便性の高い購買活動を進めるための補助的な役割を果たすものである。
しかし、本音は別のところにある。
競争社会では当たり前だが、顧客を奪いあうためのツールなのである。
顧客情報にもとづき、顧客の嗜好をパターン化し、消費者へ
新たな商品の提案を行う。
このこと自体は過度でなければ当たり前の行動であり、
冒頭の江戸時代の商家が大福帳を大切にする背景とも変わらない。

ところが、昨今のセキュリティブームにより、企業側が顧客情報を
活用することから、守ることへと意識を移しはじめているように思える。

 


一体、何のために顧客情報を集め、厳重に管理しているのだろうか?
それは商売をするためである。つまり、顧客情報を利用して、
商売を拡大するためである。だからこそ、厳重な守りが必要なのだ。
少し古くなるが、「日経コンピュータ」2012年3月29日号(日経BP社)
においてこんな特集記事を見つけた。

「個人情報を使い倒せ」

当時の記事には「攻める米国、萎縮する日本」というフレーズもある。
個人情報の扱いにナーバスになりすぎている日本企業の様子を端的に表現している。
日本らしいと言えばそれはそうだが。しかし、顧客情報を適正に保有する
企業ですら、腫れものを触るようにこの情報を扱ってきた。
どう扱ってよいのかわからない。だからこそ、このような記事が
誌面を飾るわけである。

顧客情報とは事業を拡大させ、新たな価値を消費者に提供するための
燃料である。しかし、その燃料を倉庫に保管しているだけでは、
劣化したり、燃料自体が使えなくなるケースもあるだろう。
燃料は使ってこそ価値が見出せる。顧客情報もビジネスに最大限に
活用することだ。それが正しい使い方である。

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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊

『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』

 第6章 アナログとICTの境界にリスクあり

 -正しい顧客情報の扱い方 より転載)