[本文引用]
私は2005年に
『IT、情報活用、セキュリティで右往左往しない社長の鉄則77』
(2005年7月・明日香出版)を発刊した。
タイトルにあるとおり、ICTと情報活用、そしてセキュリティは
三位一体で取り組むべきだと世に問いかけた。
ICTの普及により、情報の電子化が進み、
誰もが簡単に瞬時に大量の情報を取捨選別できるようになった。
その利便性は、今後ますます高まるであろう。
しかし、その一方でICTが普及すればするほど、情報セキュリティリスクが高まる。
例えば、私がこの分野に関わりはじめた30年前、コンピュータに触れる人は
私のような情報処理技術者ぐらいだった。
業務上、企業の機密情報を扱うこともあったが、
今のようにネットにつながることが前提ではないし、
情報セキュリティも声高に叫ばれることはなかった。
しかし、ICTの利用が進めば進むほど、
情報セキュリティリスクが高まり、影響範囲が拡大する。
ICTとアナログの境界線にリスクが存在するのだ。
大容量の記録媒体が登場し、ポケットにおさまるコンパクトな
USBメモリに数GBもの記録が可能になった。
そのことにより、いとも簡単に大容量のデータ持ち出しができてしまう。
情報漏えいリスクが高まるはずである。日本年金機構やベネッセのような
個人情報漏えい事件に共通しているのは被害件数が膨大であることだ。
原因や対策もそれぞれ異なるが、事件や事故が発生すれば、
その影響ははかり知れないほど大きなものになる。
また、情報セキュリティは情報共有化とも密接に関係する。
情報共有化を進めれば、より多くの人が情報を扱うことが可能な状態になる。
当然情報セキュリティリスクが高まる。
この相反する2つのことに対応しなければならない。
企業経営にICTの活用は欠かすことができないことを
繰り返し説明してきた。その一方で、組織内のルールに従って
機密性が維持された状態が求められる。
つまりは、ICTと情報活用とセキュリティは三位一体で
取り組まねばならないということだ。
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(近藤 昇 著 2015年9月30日発刊
『ICTとアナログ力を駆使して中小企業を変革する』
第6章 アナログとICTの境界にリスクあり
-ICTと情報活用とセキュリティは三位一体 より転載)