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【提言16】日本のICTはガラパゴス化の同じ轍を踏むな

ユーザー
サイト管理者
日付
18年12月4日 11時52分
元記事URL(外部サイト)
https://ameblo.jp/kondoh-blg/entry-12423553605.html

[本文引用]

――ガラパゴス化

このキーワードがビジネスの世界で一般的に使われだして、
どれぐらいになるだろう。
記憶によると、携帯電話の失敗事例が真っ先に頭に浮かぶ。
高機能・多機能過ぎた日本の携帯電話は、海外では普及せず、
日本でしか使われなかった。狭い日本に最適化し過ぎて、
世界のビッグマーケットをたぐりよせる機会を逃してしまったのである。



日本が経済力で光り輝き、ITの最先端ツールや仕組みが
先進国でしか使われていなかった時代は何も問題はなかった。
しかし、今や世界がマーケットだ。しかも、そのほとんどが
日本よりも未成熟なマーケットなのだ。
こんな未成熟なマーケットで先進国に最適化し過ぎた商品は不釣合いだ。
もっとシンプルであり、現地のニーズに適応したものでなければ
受け入れられない。

家電業界のここ10年の栄枯盛衰も記憶に新しい。
韓国メーカーの台頭だけではない。例えば、日本の高度成長期を
支えてきた白物家電の雄・サンヨーは今はすでにない。
一度は、パナソニックの傘下に入り、今は、中国のハイアールに
そのノウハウや技術は吸収された。そのハイアールは新興国、
後進国マーケットをターゲットに躍進を続けている。
日本の戦後からの歩みを考えれば、私ぐらいの世代には
理解できることである。私は今でも時々電気屋に行くことがある。
若い頃から最新技術に関心が高かった私は、最新機器の進化が気になった。
洗濯機、冷蔵庫など、一体どこまで進化するのか、新商品を見るたびに
胸が高鳴った。
しかし、考えてみたら、こんな高機能で多機能な商品を使って、
生活の何がかわるのだろうか?
ハイテクは本当に人々の生活を豊かにしているのだろうか?
今ではついつい余計なことを考えてしまう。
現実的な思考回路で考えると、これらが無用の長物に見えてしまう。
ハイアールはインド市場などで、単機能の洗濯機を量販している。
ちょうど私が子供の頃と似たような生活環境だと思う。
日本では洗濯機が自動化されだした時代だった。それが今や全自動。
日本の進化はもの凄いことだ。20年後のマーケットとして
世界の期待を集めるアフリカはどうだろうか?
まだ、電気が使えないところだらけだ。
電気がなければ、家電は使いようがない。では、どうするのか?

先進国には、すばらしい技術やノウハウがたくさんある。
しかし、先進国のみで経済が発展する時代はすでに終止符が打たれた。
これからの企業は、新興国、後進国のマーケットにどれだけ食い込むかが
勝負だ。日本のICT企業も、建設、物流、食品メーカーなど、
他の動きに乗り遅れまいと海外進出が視界に入ってきた。
日本で培ったソフトウェアやICTシステムの売り込みも
始まりつつあることを実感する。私も日本のソフトウェアを
海外に浸透させることには大いに賛成だ。最大の理由は、
日本のビジネスや技術ノウハウが凝縮されているからだ。
実際にセンスのある経営者はこれを欲している。
しかし、最大のネックは価格だろう。いくらオフショア開発で、
開発コストを低減しているといっても、日本の価格を持ち込んだのでは
勝負にならない。ローカライズ化で成功を収めつつある食品メーカーなどと
同じように、現地で開発して、現地価格に適応させて現地で売る。
これがベストである。すでに、大手ソフトウェアメーカーが
ベトナムで日本製ERPをローカライズ化して、販売を始めている例もある。
日本のビジネスノウハウが凝縮された商品は、その導入工程での
業務改革などを上手に行えば、ベトナム企業の発展に大いに
貢献できることは間違いない。しかし、こういうビジネス手法も
過渡期のものになるだろう。知的財産の代表選手のソフトウェアや
ICTの仕組みは現地で生まれるのが一番だ。
しばらくは試行錯誤が続くだろうが、その国のビジネスのレベル、
社会生活のレベルに適応した商品がその国で生まれ出すだろう。

ガラパゴスにならないうちに、日本のICTも海外で
活躍して欲しいと切望する。

 

 

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(近藤 昇 著 2016年10月15日発刊

『もし、自分の会社の社長がAIだったら?』

 PARTⅡ 企業経営への提言

 -【提言16】日本のICTはガラパゴス化の同じ轍を踏むな より転載)