[本文引用]
コロナ危機の今、ふと思うことがある。
オフィスワーカーに分類されるコンサルティング業の人は、在宅勤務が強いられている中、
どうしているのだろうか?
単純に考えれば、テレワークに切り替えています。
といきたいところだと思うが、そうは簡単には適応出来ていないと想像する。
今回は、コンサルティングという仕事の未来を改めて考えてみたい。
かつては世間が勝手に私の事をコンサルタントと呼び出した時期があった。
創業して数年たった頃、30代後半のもう20年近く前の事である。
確かにセミナーは数多く引き受けて本も書いて全国行脚はしていた。
また、有名なビジネス誌に連載もしたこともあるる。
しかし、私はコンサルタントと自ら標榜したこともないし、コンサルタント業を事業の中心にしたいと思ったことは一度もない。
その当時も取材を受けることは結構あり、ほとんどの場合、記事のプロフィールにはコンサルティング会社と書かれてくる。その度に訂正を求めても応じるところは少なかった。
私の会社では、コンサルティング会社と思われたくないので、コンサルティングではなくペースメーキングとわざわざ商標もとってPRを始めた。この言葉をパンフや様々な機会で使ってきたものだ。今は、創業から27年経ちベトナムやルワンダなどの新興国でレストラン事業や社員教育事業など色々とビジネスをしていることもあり、コンサルティング会社ですよねと言われることは減ってきた。
と同時にようやく私たちの伝えたかったペースメーキングが理解される時代が来たとも思っている。つまり、やって見せる。これが原点である。
少し古い話だが、2000年に発刊された“コンサルティングの悪魔”はとても印象に残っている。
もちろん、コンサルティングを私は今でも全否定しているわけではない。経営者がいつの時代も優秀で馬の合う参謀を探しているのは事実だし、経営者が唯我独尊でかじ取りや判断をできる時代でもない。
この本の時代背景は、高度経済成長期が終焉しかかったころの、コンサルタントの役割が変化する過程に焦点があったと解釈している。
要するに、経済が右肩上がりで成長し続けている時のコンサルタントは、分かりやすく極端に書くと、よその成功事例を他社に伝授する。ということに尽きる。まして、こういう時代は、今のように情報が容易に獲得できる時代ではないし、自社に有益な情報そのものを得るのに、ハードルがあり、それは必然的に誰かに対価を支払って得るものとなっていた。
経済が好調な世界では、成功事例を真似すれば、普通にやっていれば誰でも成功する。だからよその事例を知っているコンサルタントが重宝されたわけである。
虚業と揶揄される理由の一つかも知れない。
今は、その時代とは隔世の感がある。
経営者自身がその気になれば、経営に必要なほとんどの情報は、ネットを中心とした新種の情報源から入手できる。
昔と違い、経営者同士の交流もオープンでグローバルでもある。ちょっとした情報交換や相談なら、チャットやメッセンジャーなどで気軽に自由にできる。しかも、自ら情報発信をしている経営者も増加中である。
経営者の生の情報に勝るものはなかなか無い。
さて、こんな変化の激しい先行き不透明な時代。昔の一流コンサルタントができる仕事とは何であろうか?
私は、昔から仕事柄コンサルタントとの付き合いも多く、勝手にその仕事を分析してみたことがある。もう20年ぐらい前の話だが、独断と偏見で、コンサルタントの仕事の70%は属人化を脱却し標準化できる。と確信していた。残りの30%の部分はアナログ部分だ。社長とウマが合うあわない、いざというときに頼りになるといったメンタリティや個性と人間力の話だと思ってきた。
私の考えは今も変わらない。
しかし、今はすでにAIの時代。経営者すらその気になれば、AIを頼りにできる時代が目の前に来ている。特にリスクマネジメントなどは最たる領域だと考えている。
しかも、オンラインで仕事ができる時代。コンサルティングもほとんどオンラインに切り替わるのは自然の話である。
今回のコロナ危機は変革の大きなトリガーになった。