[本文引用]
今ほど、人類が健康に対して関心が高い時代がかつてあっただろうか?
しかも、世界同時に全世代がである。
企業の経営者ならなおさらだと思う。社員の健康状態や安全について案じない経営者などいないだろう。今は、危機管理の最中。迅速に適切な対策を講じる責任者としての役割も果たさないといけない。
今こそ、平時の際の社員の健康管理についても考え直す時期だと思う。
皆さんは、健康経営という考え方をご存知だろうか?
経済産業省のHPを参照すると“健康経営の推進の概要について”という2020年4月付の資料が参照できる。要約して引用すると次のようになる。
背景には生活者一人一人が心身の健康状態に応じて経済活動や社会活動に参画し役割を持ち続けることができる生涯現役社会の構築に向けて、様々な関係者が改善活動に取り組んでいくという大方針がある。
その上で、社員の健康維持・増進の取り組みが、将来的に会社の収益などを高めるとの考えをベースに、健康管理を経営的視点から考えて戦略的に実践する事と説明されている。
私なりに表現を変えれば、
会社も社会的課題の改善について大きな責任があり、そのためには社員一人一人に関して、今まで以上に健康管理に力を入れて健全な経営に取り組まなければいけないと解釈できる。
すでに、健康管理も最も重要な経営課題、経営の目標の一つと言っても過言ではない。
言うまでもないが、仕事と健康は密接な関係にある。心身ともに健康であって初めて、仕事の成果も出るのであって、ベースとなる心身に問題を抱えていては、健全な仕事の遂行ができない。
それともう一つは、健康管理を個人でも組織でもしっかり継続的にできるという事は、仕事に必要なスキルや習慣化が身についていると言える。
健康管理に会社が優先順位を高めて取り組むことは、一石二鳥以上の効果があるわけだ。
もう一つ社員の健康管理に近いテーマとして安全管理がある。工事現場や製造業の工場などで業務を遂行する上でけがや事故を防ぐための安全管理も極めて重要だ。
冒頭で書いたように、今は世界的な感染症が爆発的に蔓延している。職種や仕事の種類にかかわらず、今後は、感染症対策という健康管理も極めて重要な課題となった。
では、安全管理や感染症対策も含めた健康経営が一朝一夕に実現できるだろうか?
仕事のスキルアップ、ハイレベルな品質確保、効率の良い業務の遂行などと同じように、継続的な改善の取り組みが必要だと考える。
結局は、健康経営もPDCAサイクルが正常に機能している組織にしか定着はできないのである。
実際に現代の経営の実情では、社員一人一人の健康管理は極めて難しい。コロナ危機前からそうだった。
通常、同じメンバーが同じオフィスや現場でいれば、表情や態度の変化である程度はその社員の状況は把握できる。ところが、今の時代は、雇用は外国人も含めて多様だ。また、人の移動も多いしITを活用したテレワークも急激に進展している。こうなると、なかなか、社員一人一人の健康管理を心身両面からケアし、問題があれば経営の立場からも対応することはとても困難である。
優秀なマネージャーの個人スキルだけに頼る健康管理はすでに過去のものとなりつつある。
具体的な対策としては、第一歩として社員一人一人健康状態の見える化を進める必要がある。
それには、ITツールが有効だ。しかしながら、飛行機に例えて使われるコックピット経営と同じで、現場からの正しいタイムリーな状況が責任者に伝わらなければ、いくら素晴らしいITツールを導入しても組織として効果的な責任のある対策はできない。
PDCAサイクルを土台として健康経営を実現するためにも、通常の仕事を円滑に進める社員のスキルアップや仕組みづくりと同じようなレベルでの対応が必要になる。
危機管理の今こそ、中長期的な目線で取り組みを始めることも重要である。
事業推進、改善の実行、顧客開拓、コンプライアンスの順守、セキュリティ対策、BCPなど、あげだしたらきりがないが、経営者の責任範囲はとても広い。しかし、ベースはPDCAサイクルをしっか