[本文引用]
日本の地域活性化に関する仕事を長年やってきて思う事がある。
コロナ禍の中、日本全体で地方回帰が顕著である。
最近は、自然を連想する地方の魅力についてもマスメディアでも話題によく上る。また、SNSなどで眺めていても個人個人が生活やビジネス活動を地方にシフトしたり、自然に触れる時間を増やしたりする人が増えているのが分かる。こういう事態だからこそのこういう行動は人間の性ともいえる。
企業も少しずつでも地方にサテライトオフィスを構えたり、ワーケーションを労働形態の一つとして取り入れたりしていくことだろう。それは必然的に地方で自然の近くで働く流れである。私はこの動きは大歓迎だ。
地方に人が向かうことは、徳島の農村出身の私としては、とても嬉しいことであるし、海外でのビジネス活動も積極的に進めているが、私自身ももっと大胆に日本の地方でのビジネス活動をしようと色々と思案中である。
この10年を振り返ると、海外ビジネスをしてきた一方で、少なからず全国、色々な自治体とビジネス関連の接点があった。
どこの地域も地方再生、地方活性化の錦の御旗のもと、観光客の誘致、移住者を増やすなどの政策をあの手この手で実施しているし腐心している。おらが村、おらが町を大切にしたい気持ちはとても分かる。
私も田舎出身だから特によく分かる。
しかし、日本の地方自治体が考えていることは、金太郎あめのような活動が多いと思うのは私だけだろうか?
人口が減る国で、どこもかしこもの地方が観光客増やすのは限界がある。観光客を増やそうにもすでに、日本人から見たら、人気がある観光地は決まっているし、この長年積みあがってきた序列はそうそう変わらない。
残念ながら、私の出身の徳島は観光魅力度では47都道府県でも下位である。
いずれにしても、今のところの地方自治体の本音は移住であり、当然、住んでもらうことによってはじめて継続的に地域の経済や地域活動は活性化する。次が、観光客の誘致、そして、企業の誘致といったところだ。
一方では、最近は地方でも海外に向かうことも盛んになってきた。
ただ、それは単純に考えて、海外にマーケットを拡大できる可能性を求めることである。
もう一つが、さっきも書いたが、海外に対してPRすることで、自分のところに外国人を呼び込むということにもなる。
そもそも、日本は人口減少している国であり、この先何十年とこの傾向は変わらない。
そこに、地方の活性化の一環で、海外からの観光客の誘致の強化は至極当然の方策だったと思う。
日本は経済的に豊かだったこともあり、長年、積極的に海外からの観光客は受けて入れてこなかった。それが一転した。数年前からインバウンドで経済成長の原動力としようという国の方針が強化された。実際、右肩上がりで海外からの観光客は増えていた
それはそれで良かったのだが・・・。こういう事態になると、果たして今後もこれでよいのかの疑問が残る。インバウンド頼みは余りにも不安定だ。
話は変わるが、海外に出てみるとよく分かるが、私たち日本人は、日本の価値や地方の魅力をよく分かっていない。
やはり、人間の性として陥りがちな、灯台下暗しになっていると思う。
そもそも、日本の魅力を海外に心底語れる人がどれぐらいいるだろうか?
グローバル視点での議論で、日本人の弱点として語られる有名な話がある。
例えば、留学などで世界から人が集まっている場で、日本人ぐらい日本の事を語れない民族はいないと評価されるとよく耳にする。
そう思うと、私自身も日本の事を知っているようで知らないことだらけだ。
海外に行くようになってなおの事思うが、日本の津々浦々、魅力的な場所はいっぱいある。
なにも観光名所があるからとは限らない。偶然訪れた街でもよい。農村でも漁村でも地域で暮らす人の人情も重なって魅力的な場所はあちこちにある。