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世界のどの国も、国の成長や経済の発展のためには起業家の輩出が必要条件である。
しかし、ここしばらく、日本の起業の数は期待通りには増えてこない。
当然、国としても起業家増加のための政策はあの手この手で目白押しだ。起業家から見たら、かつてこれほど充実した支援の環境があっただろうか?
とても充実していると思う。
しかし、残念ながら、一向に全体の起業数は増えない。
最近は、日本の高齢化に伴ってシニア起業が話題になったりしているが、最近の日本の起業の平均年齢は43.5歳である。高齢化に伴って年々上がっている。
もちろん日本の起業家にも期待はしたいが、私はそれと同時に新興国の起業家の方にとても関心がある。2年前に、“新興国の起業家と共に日本を変革する”を上梓した。
起業は苦しみもあるが本来は痛快で楽しいものだ。商売の原点は三方よしとよく言われるが、そこに楽しさワクワク感が必要だ。
恵まれすぎて便利すぎる社会で生活していると商売の本当の醍醐味が理解できなくなる。顕著な例が運送業の問題である。ITビジネスの代表選手であるECは売上を伸ばすことばかりに目が行き、何かを見失っていた。それは実際に商品を誰が運ぶのか・・・という当たり前のことに日本の社会が気づいたのはついつい最近のことである。荷物が空を飛ぶことはあり得ない。人間が運ぶのである。それにも関わらずECが成長し続けると信じてやまない経営者は実に多かった。
ほかにもこういう類の社会問題は日本にはいくつも存在する。これからの課題解決はIT社会だからこそ、アナログの世界に焦点をあてるのが最重要であると言っても過言ではない。
日本の企業は随分前から新たなマーケットの獲得のためにアジア進出を積極的に取り組んできた。
すでに日本の起業家もアジアなどの新興国で事業創造にチャレンジできる土壌がある。
しかし、日本の生活体験が新興国で戦うには日本の起業家の弱点になっているともいえる。成熟した社会、満たされた社会、こんな便利な社会だが失っていることも実に多い。例えば今の新興国では、食事していたらハエが飛んでくることは当たり前にある。今の日本では考えられないだろう。