[本文引用]
最近、ITに関する話題が私の周りでも劇的に増えた。
まあ、そのほとんどがZOOMだったりするから、日本人らしいなと結構客観的には見ている。かつてマイクロソフトからしたら、新商品を試すのは日本が良いと言われていたことがある。今は、そういう世界に余り関心がないしITはすでに世界中に浸透しているので、日本だけが特別な存在ではなくなったかもしれない。
そんなことをふと思い出しながら、今のにわかITブームの終着点を考えてみたくなった。
ITは見えない。分からない。一般の人から見たら、これは間違いなく正しい。
しかし、
一方では専門的見地から言うと、ITは見えにくいのは同意であるが、分からないことは全くない。
私から言わせれば、車がどうして動くか?飛行機がなぜ空を飛ぶか?何となく理解はしているが、100%正しく論理やメカニズムを説明しなさい。と言われると不可能だ。関心は強くてもそういう学習も経験もしていない。
一方、私もそうだが、ITの仕事にどっぶりハマって、しかも、ITの原理、仕組みから学習、体験している部類の層から見ると、あまりにも明確である・・。
書き出したら、一冊の本に軽くなるが、0か1、つまり、オンとオフのビットの世界で・・・。今の主流のコンピュータの原理原則である。
建築で言えば基礎や土台にあたるだろう。ちなみに、建築は皆さんわかったように思っているが、土の中の基礎や土台がどうなっているかは見ることはできない。
今は、量子コンピュータが研究段階だ。これが実用化されると、私の経験値は過去のものになってしまううもしれない。
少し、ITの話を続けると、建築の基礎や土台にあたるものが、コンピューター(ここでは、大型コンピューター、パソコン、スマホの総称とする)そのもの、つまりハードウェアとそれを動かすOS(オペレーティングソフトウェア)というプログラムだ。
私は、建築出身なので、ITの説明するときに、建築に例えることが多い。後もう一つは、車である。この建築も車も日本人には生まれたころからなじみが深く、かつ、生活者は必ずなんらかで利用体験がある。
ITは確かに見えにくい、分かりにくい。
もちろん、専門外の人でもITの入門書を読んで、少しずつ理解を進めれば見えて来るかもしれない。情報処理関係の資格を取れば、知識は身につくだろう。しかし、これでは日本人の典型的な英語と一緒だ。私もそうだが使わないと身につかない。
いやいや、私はパソコンやスマホを毎日使っていると反論する人はいるだろう。
私が言いたいのは、そういう単に利用者として使う話ではない。
ITにおける体験とは、やはり、プログラミングを実際にやってみる。ということだ。
具体的に言うと、コンピュータ、ソアトウェアがなければただの箱、とよく揶揄されてきた通りである。
先ほど書いた、OSを作る仕事は、車で言えば、エンジンを開発するような仕事である。だから、流石にこれを体験することはしない。私もプログラミングは色々と体験しているが、OSは作ったことはない。まあ長々書いても仕方がないので、簡潔にまとめると、プログラミングを体験すれば、ITは分かるようにはなる。しかし、見えるわけではない。
余談だが、小学生にプログラミング教育が始まっている。私は、“日本人の英会話”にならないかをずっと心配している。習う目的を明確にしないと、勉強したから役に立つとは限らない。
ここまでも、建築と対比で考えてきたが、
建築は見えますか?
と訊かれた、皆さんどう答えますか?
構造計算の偽装の事件を覚えているでしょうか?
日本で大騒ぎになったこの事件を一般の人は意外と知らない。
一方で、食品の偽装問題は、多くの人が関心があるし知っている。
もちろん、健康上に実害があれば、とても大きな問題ではあるが、建築物の構造上の問題の方がもっと深刻だ。なぜなら、万が一大地震が起こったら、建物が崩壊するからだ。
専門的になるが、日本の構造建築は世界一のレベルだ。それは地震大国であるという環境によるものが大きいが、そもそも、日本は信用されている国である。品質については言うまでもない。しかし・・である。この鉄筋の数量をごまかすことがなぜできたか?
それは見えないからである。正確に言うと、工事中は見えているのである。少なくとも鉄筋工事をしていた職人は知っている。もちろん、職人を責めることはできないと思う。指示通りの仕事をしているだけなのだから。
結果どうなるか、コンクリートが流し込まれて、それ以降は、不幸にして大地震が来て建物が崩壊するか、使用年数を終えて解体する時である。
建築にとって構造物はとても重要であり生命線だ。これは子供でも分かる。土台や基礎や柱がないと建築は成り立たない。しかし、その中は、非破壊検査を徹底的にしないがきりは分からないのである。現実には、見えない部分をすべて検査はできない。
そうなると、それは日本の信用?企業の信用?日本人の信用?ということなる。