[本文引用]
日本は幸せな国ですか?
日本人として幸せですか?
もし、異国の友人にこういう風に聞かれたらどう返答するだろうか?
新興国から見たら、間違いなく日本は幸せな国に見える。
長年、新興国で活動していて確信する。
ただ、それは彼らからは日本の良いところしか見えていない、それと他人の芝生は青く見えることも多分にある。
私が返答するとしたら、正直に実情を話する。
今の日本は年々不幸せが増えていると私は思う。
別の言い方をすると、ここ30年以上幸せを求めて迷走しているように思う。
高齢化はじめ社会の課題も多い、格差社会のひずみも大きい、ストレスに苛まれている国でもある。
まず、幸せについて考えてみる。
絶対的なものと相対的なものがある。
相対的なものでいえば、人は誰かと比べるたがる、他の国と比べることもある。
そもそも、幸せかどうかは本来は主観の問題でもあり、どんな時代でもどんな国でも幸せに感じている人はどこにでもいる。
しかし、人は他人と比べたがる性分である。
新興国からすれば、日本はあこがれの国で、日本人は信用できると思う人が多い。しかも日本の商品やサービスは優れているので、それを利用するとしあわせ感がさらに増大するのは疑う余地がない。
結果、日本は実態以上によくみられていると思う。
相手も日本の良いところを見ようとする。わざわざ悪いところを見たり、あらさがしは付き合いが始まった頃ははしない。人間は皆な似たようなものだ。いずれ日本に精通するとか、日本に住んでみれば、あらも見えてくるだろうが、まだ日本との付き合いはどの新興国も浅い。
それに加えて、日本は自らを美化して海外に発信しているわけではないが、わざわざ、問題点や課題を積極的には開示していない。
世の中には面白いデータや統計は多々あるが、世界しあわせ指数なるものがある。
世界幸福度報告の世界幸福度ランキングは興味深い。
ウィキペディアによると、
世界幸福度報告(せかいこうふくどほうこく、英語: World Happiness Report)は、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポートである。この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である。報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している。
悲しいことに日本は年々順位を下げて、2020年には62位だ。
ネットで調べると他には地球幸福度指数があるが、こちらでも日本は下位である。
単純にまとめると、
海外からは日本は豊かで便利で美しく、とても素晴らしい国。
一方、日本人は日々ストレス社会で疲れ、人間関係で悩み。常に健康管理を気にしながら、とにかく時間がないと、あくせく動く。そして、現実社会では高齢化社会の課題が重くのしかかる。
色々と幸せ感を阻害するマイナス要因がある。
一言でいえば物質的に恵まれているが心の面で豊かとは言い難い。恵まれ過ぎて失ったものも沢山ある。便利過ぎて“退化してしまっている人としての能力”もある。
人間はだれしもそうだが、日本のような先進国が欲望の追求にハマると抜け出せない。いったいどこまで求めていくのかと言うぐらい疲弊の方向に向かっている。
新興国目線で見たときのグローバル標準からは随分前から外れている。
私はかねてからよく話に出すが、
江戸時代と比べてみて、どうかを考えてみても良いと思う。長い鎖国の中で日本人らしい豊かな生活が成立していたと思う。もしかしたら、日本人が一番心豊かな時代ではなかったかと思う。
今の日本人に欠けていることは、国際的な視野というよりも、身近にある日本の価値を感じる力ではないだろうか?
例えばそれは、世界でも有数の豊かな恵まれた自然との一体感だと思う。人間はそもそも自然の中で生まれて自然と共に生きている。世界には多様な自然がある。人間にとって過酷な自然もある。
そういう中で日本ぐらい自然資本が豊かな国はないのではないか。と確信する。
コロナ禍のなかで自然回帰は始まっている。
この豊かな自然と協調して生きているだけでも、日本人は幸せだと思いたい。
以上