[本文引用]
人間は実際に会わなくてもあった気になる。
こんな話をすると、一昔前だったら夢か幻かという話になる。
しかし今は現実に、実際に会ってもないのに会ったかのように感じる時代になった。
例えば身近なところでいくと、
SNSもそれに近い。
長いこと会っていなくても、SNSで頻繁に知り合いの情報を見ていると、いつ会ったかの記憶が曖昧になる。そして久しぶりに直接会った時に、
“久しぶりの気がしないね”というお決まりの会話が増えてきくる。
私も仕事柄もSNSは意図的にチェックする頻度が平均的な人より多いと思う。
結果、知り合いの活動の知らなくてもよいことを知ってしまうし、必要以上に気にすることが増えてしまう。SNSで洪水のように流れる情報に脳が混乱していると言える。
ところで、VRが急速に一般化されつつあるが、どれだけの方がご存じだろうか?
VRは英語ではvirtual reality、日本語では仮想現実。コンピューターテクノロジーの1つでもあり、新しいメディアとも考えられる。
具体的に簡単に説明する。
写真などで見かけたことがある人も多いと思うが、ゴーグルのような形状の専用デバイスを装着して仮想空間を体験する。コンピュータを活用して、仮想空間の中で現実ではできないような疑似体験ができるテクノロジーだ。
もう一つ似たような用語でAR、MRというのがある。
現実世界の物にコンピュータがさらに情報を付加することを拡張現実Augmented realityや複合現実 Mixed realityと呼ぶ。
コロナ危機前に水面下で密かにブームになりつつあったが、コロナ禍の中、ITやオンライン活用とセットで、今一気にVR活用がにわかに脚光を浴びてきた。
VRは仮想現実の言葉のニュアンスの通り、脳を騙すことであるも言える。
人間の脳はそもそも騙されやすい。というか騙されることで正常に機能している部分もある。人間は騙されながら正常に生きていくわけである。
では、意図的に過度に脳を騙すと人間はどうなるのだろうか?
VRの普及で、私が危惧していることのひとつだ。
人類はとうとう仮想現実という作為的、意図的にに脳を騙すことが出来るテクノロジーを開発してしまった訳である。
これは明らかに諸刃の剣だ。使い方を誤るとすれば、人類は、またとんでもない邪悪な道具を生み出したことになる。
光と陰の両面を持ちながら、この脳を騙すテクノロジーは私たちの知らないところでも、どんどん普及していくだろう。
テクノロジーの進化が起こるたびに常に思うことだが、本当に人類の今と未来に有益に使われることを願いたい。AIも似たようなものであるが、このAIとVRが連動するだけでも悪く考えればそれは恐ろしいツールとなる。
良い方向に使われることを願うが、結局は使う人一人ずつの良識やリテラシーにかかっていると思う。