[本文引用]
最近、日本のチームワークは“日本らしさ”がなくなってきているのではと思う。
言い換えれば、乱れているとも言える。
チームワークは特にビジネスの世界で日本のお家芸だと思うが、そもそも、日本のチームワークとは何だろうか?
ベトナムなどの新興国でのビジネスを長くしていると、新興国のビジネスパーソンは、日本のチーワークについて強い関心があることを肌身で感じる。
特に、予想を覆し女子サッカーや野球のWBCで日本が勝った時などは、ことさら日本のチームーク力が新興国でも話題になる。
“流石、日本はチームワークでスポーツでも結果を出している”
“ビジネスで大成功してきたのもチームワークだから日本は凄い”
こんな理解ではなかろうか。
実際に、私もベトナム人の多くの社員教育を講師として担当した。その際には、チームワークをトコトン伝えてきた。その理由は彼らが一番関心を持っていて学びたいことだからだ。
日本のチームワークとはこういうものですよと、スポーツや社会的コミュニティを事例を交えて教える。そんな訳で、私の頭の中には、“チームワーク”は新興国に伝授できそうな日本のビジネスの技の上位に常にある。
日本独特のチームワークとは何か?を考えると奥が深い。
ベトナムには、日本人と比較して、こういう言い伝えがある。
大きな穴に3人が落ちたとする。日本人なら、3人で協力して穴から出れる。ベトナム人は個人行動なので、永久に穴から出れない。
これを日本サイドで考えれば、日本人はチームワークでピンチを乗り切る力がある。という嬉しい話である。一方、ベトナムはチームワークは必要がないぐらい個人が強い。と言いたいわけだ。自虐的なネタだけど、自分たちの自慢話でもある。
こういう習慣や行動規範の違いがあっても、日本のチームワークは学びたいと言うから不思議だ。
確かに、スポーツでの強さが際立った時の日本には、この話が良くあてはまる。
個人個人のフィジカルで強い外国人に勝つ時の日本人のパターンだ。それが日本人のチームワークの特徴として新興国などにも認知されている。
では、ビジネスではどうだろうか?スポーツとは違う。基本的にフィジカル面はほとんど関係がない。そうすると、仮に仕事の個人個人のスキルはどの国も同じとして、日本のビジネスにおけるチームワークで何が特別な成果につながるのだろうか?
トヨタに代表されるカイゼンを組織で実現することなのか?均質な接客サービスを全店共通に提供することなのか?
分かっているようで、子供の頃からの習慣にもなっている私たちが、日本の特徴を説明しろと言われるとなかなか難しい。
だけど、私も毎日のように仕事ではチームワークを意識している。
特に、プロジェクトの運営ではチームワークは必須だと思うし、そもそも、強い会社は属人的にならず個人に依存せずが基本だ。営業の世界でもそうだ。一人の突出した営業のプロよりも平均的な営業のチームの方が、中長期的には結果が良い。まさしくこれが日本的チームワークだと考えている。
話は変わるが、コロナ過でも国民全体での日本人としてのチームワークが問われていると思う。日本の本来のチームワークの特徴を集約すれば、それは“和”だと思う。
調和、平和、協調など色々とイメージ浮かぶ。慮るも日本らしさである。
和をもって貴しとなす。という言葉がある。
聖徳太子の17条憲第一条である。
和をもっての響きは、とても日本らしい表現だ。
一般的には、和を大切にして仲良くしましょう。という意味で理解している。
しかし、少し調べてみたら、話し合いを重視しなさい、しっかり議論しなさいという別の深い意味もあるようである。
このあたりに、日本の成長のヒントがあるように思う。