[本文引用]
ここ最近、こんな刺激的な本はお目にかかったことがなかった。
400ページ近いハードカバーで、それなりにタフな本だ。発刊は約10年前の掘り出し物だ。
私は、“つながり”には人一倍関心が強い。
もともと、私の会社では、BtoBがベースで、経営者同士のつながりの構築に一番力を入れてきた。言い方を変えればアライアンスの推進である。それと連動する形で、個人個人とのつながりも大切にしてきた。
言うまでもなく、基本はアナログでのつながりが基盤だ。
また、それに加えて、主に企業や組織のIT活用や情報活用に関する仕事をしてきた関係で、インターネットやITを介してのつながりにも、ある程度は精通していると思っている。
また、私の会社では“人と情報をつなぐ会社”を標榜しており、つなぐ会社であるための仕組み化と情報の活用の改善を常に考えてきた。
この書籍“つながり”で知りえたことを一回でまとめるには内容があまりにも深すぎる。
今後、何度か取り上げていこうと思うが、読み終えた充実感と満足感が残っている間に、1回目の読了考察として、特に印象に残っている幾つかの個所に焦点を当ててみる。
一つ目は、6次の隔たりと3次の影響だ。
私も以前ブログにもとり上げたが、6次の隔たりの説明が丁寧で分かりやすい。新しく、3次の影響という考えを知った。人の影響は3次のつながりを越えると極端に減衰するとある。つまり、強い影響が及ぶのは、3次のつながりまでということになる。
自分から見て、友達の友達の友達までは強いつながりである。自身の体験でも納得感はある。
今、SNSなどを使って、人と人が、どんどんつながっていくネットの世界がある。以前なら考えられなかったことだ。SNSは3次を越えた弱いつながりが幾らでも拡大できるしくみと解釈もできる。
例えば、FACEBOOKの友達申請は典型的な機能だ。会ったことのない友達の友達につながりを申請できる。
一方で、3次内のつながりの強化にも相当貢献していることにも気づく。日常、“いいね”ボタンを活用すればするほど、“いいね”を頻繁に押した友達の情報が頻繁に表示される。これは、強いつながりをさらに強固にする機能とも解釈できる。
2つ目は、人は似てくると言う話。
肥満も性感染症も笑いも伝染する!?という帯からして、興味をそそる。
夫婦は似てくる。友達は似てくる。会社の同僚は似てくる。ということは以前から知っていたが、似てくる理由が分かりやすく解説されている。伝染と推移性である。
本文を読むと、うなずきの連続だ。身近な事例で考えても、間違いなくこれは当てはまると思う。当然、似てくるということにはメリットとデメリットがあり、ビジネスを主体に考えた場合、デメリットには関心を払うべきである。
3つ目としては、“ジョージはどこに”も興味深い。
スマホがなかった随分前におこなったドル札の移動経路をトレースする実験の話はとてもおもしろい。これを今の感染症の伝染と重ねても、重要な示唆が沢山ある。
今なら、スマホによる人の動きの見える化である。
4つ目は、社会的ネットワークというキーワードだ。
この本全体は社会的ネットワークに関する研究や実証実験からの考察がベースにあり、人間は超社会的な動物であると表現している。
人間は本能的に超社会的である。
簡単には理解が及ばないが、最後に書かれている“つながりのデジタル化”の内容は、特に私のようにITの仕事をしてきたものには、有用だ。
今、ネットでのつながり、バーチャルでのつながりの比重が増大して、アナログの人間同士の直接のつながりが減ってきているのは間違いがない。人と人のコミュニケーションが直接が苦手な人が増えている。今私は、この改善に注力をしているところである。
まずは、社会的ネットワークは人間が本能的に持っている能力であることを学ぶことが大事だと思う。
最後に、一見違和感も感じる部分も無くはないが、とても興味をそそる個所を紹介したい。
神や宗教もつながりを強固にするための一つの役割があるという箇所がある。
こういう視点で、神や宗教を考える。
人がいかに社会的であるか?人は社会的でなければ、いままで生き延びてこられなかった。そうするとこの先も、このつながりを如何に進化させていくか、興味が尽きることがない。
こんなことを考えていると、SNSやメールではなく、やっぱり電話をかけよう。という意識が強くなるから自分も含めて人間は面白いものだ。
これからはアナログとデジタルを上手に駆使して、“とっておきのつながり”をどう創り発展させ人生を豊かにするか。こんな感じに推移していく予感がする。