[本文引用]
NOと言える日本。1989年に発刊されたエッセイの題名だ。
これは、作家であり政治家でもある石原慎太郎氏の強烈なメッセージだった。
正直、内容は覚えていないが、タイトルは今で鮮明だ。
私も氏の書籍は何冊も読んだことがあるが、時代背景を考えても、突出して日本人らしからぬ存在感だったと言えば、失礼にあたるだろうか。
今、日本は、コロナ禍の中、海外ビジネスにおいて、新たな局面に差し掛かっている。
日本にいると、海外ビジネスはしばらく踊り場に思える。
しかし、新興国は動いている。持たざる者の強みを如何なく発揮するチャンス到来と言える。私が今掴んでいる情報によると、日本以外の新興国は、ハイスピードでオンラインを活用したビジネスが進んでいる。
一方、日本は、一部はオンラインにシフトした企業はあるが、大多数は、待ち状態だ。
要するに、現地に行って、直接会わないとビジネスが進まないと思い込んでいる。
国内だけで考えるのであれば、多少の際はあっても、概ね皆が一様なので、これで極端に大きなハンディにはならない。
みんなで、オンライン活用に四苦八苦だから、ある意味、同じ穴の狢だ。
もう一つは、日本には、アナログの世界で経済大国になってきた自負と長年の習慣がある。
今でも経済の中心の中堅ビジネスパーソンは、アナログ派である。会ってなんぼの世界だ。
また、実際に彼らは、アナログ力の駆使にかけては、人間力をフル投入できる。
機微を掴むのも長けているし、気遣いや誠意ある対応が発揮しやすい。
こんな事情で、国内でオンライン活用、別の言い方ですればデジタル活用が他の先進国に遅れても仕方がない。
ただ、これが海外ビジネスとなると、こうはいかない。新興国は日本を待っていてくれない。
このままでは、乗り遅れる危機感がある。
もともと、欧米の先進国に対してだけでなく、新興国でも、日本は、自己主張ができない。はっきりものが言えない。NOと言えない日本である。
近隣の韓国や中国がベトナムなどで活動するときのアグレッシブさは強烈だ。
私も、長年の東南アジア活動でも痛感している。
日本はおとなしい。
これはすでに世界が認識するところで、新興国でも同じように思われている。
私のように、はっきり言うと、日本人?と疑われる始末である。
私は、日本の経営者に提 言したい。
今こそ、海外ビジネスでオンラインを積極的に使う。NATO(NoActionTalkingOnly)と揶揄されることも減る。
これを払しょくするチャンスだ。
アナログ思考は分かる。
ただ、アナログの場では、言葉の問題やコミュニケーションスキルで気後れする。
オンラインの欠点と言われているところを逆手に取ればよいのではと真剣に思っている。
何よりも、オンラインは空気は読めない。日本人同士でも難しい。まして、日本が得意の阿吽の呼吸や間はほとんど通用しない。
余計な空気を読まなくてよいので、海外ビジネスにはプラスだ。オンラインではっきり言う。自己主張は全開でする。そして、オンラインの通訳に任せる。
こんな感じで、しばらくオンラインで下地を作ってから、時期を見て、直接、タフな交渉やアライアンスを進めることを提言したい。
直接会う前のオンラインは結構使えると確信している。
以上