[本文引用]
ペースメーカーと聞いて何を連想するだろうか?
ほとんどの人が、医療関係のペースメーカーを思い浮かべると思う。
実は、私の会社は20年近く前からペースメーカーの商標を持っている。
日本語に直すと、伴走する。と言う意味だ。
マラソンでペースメーカーの役割は大きい。
42.195キロのマラソンレースのスタート時点から一定の距離まで、ペースメーカーが伴走して、全体のスピード感やペースを誘導する。
マラソンは環境や気候にとても影響を受けやすい。時には、スタートから猛ダッシュしてペース配分を間違えたり、逆にスローペース過ぎて、つまらないレースになるのを防ぐためでもある。
ペースメーカーの役割は大きいのである。
別の意味で、お手本を見せる。という事にも近いと思う。
ところで、なぜ、私の会社がこの商標を持っているかだが。会社には自己紹介がつきもので、基本的には、20年前から、当社は中小企業のペースメーカーです。ペースメーキングをします。と説明をしてきた。
ところで、皆さんは、コンサルティングと聞いて、どういう印象があるだろうか?
大企業の方々と仕事する機会も多いが、彼らは総じてコンサルティングという世界には好意的だ。
大企業には優秀な人が多い。戦略にも長けている論理力も優れた人が多い。
そして、ビジネスのスケールが大きい。仕事の進め方としては、役割分担の上で計画的に進める。
そういう中で、専門的な分野に特化したコンサルタントやグローバルな視点を持つ第三者の意見と言うのは貴重だ。いずれにしても、大企業は積極的にコンサルタントは活用する。こういう構図で、コンサルタント業界は基本は成り立ったている。
一方、私が創業時から、企業支援の中心においてきたのが中小企業である。
今もこれは変わらない。結論を簡単に言うと、中小企業にコンサルタントはあまり似合わない。
ミスマッチが多くなる。そもそも、中小はそんな戦略的でも論理的でもない。対象とするマーケットも小さい。大企業のコンサルタントでは当然オーバースペックになる。
また、アナログ重視の世界で、やってなんぼだ。理論より実践の世界なのだ。
中小企業にコンサルタントという構図は、大企業のそれに比べるとミスマッチが多くなる。
当社の仕事の話に戻るが、創業時は、おさがりの会という子供服のリサイクルが最初の事業だ。阪神大震災に遭遇し、あっけなくこの事業はとん挫したが、その後、パソコン教室、ペットショップなど色々と事業にチャレンジした。このどれも今は、継続していない。
しかし、こういう事業にトライした経験は、結果的に色々と活きてきた。意図していたわけではないが、特に、失敗経験は価値を生む。顧客としての中小企業からは、必要とされる。
創業時から、事業の柱の一つであった、IT支援と相まって、“だから中小企業支援のIT化は失敗する”を上梓してから、一気に企業支援の依頼が増大した。
世間は、ITコンサルティング会社と喧伝を始める。日経新聞の取材を受けても、ビジネス系の雑誌の掲載でもやはり、ITコンサルなのだ。
ペースメーキングと書いてほしいと何度頼んだことか。
私は、今でもそうだが、コンサルティングという言葉があまり好きではない。
悪い印象も多いからだ。このブログでも書いたことがあるが、コンサルティングの悪魔の本のイメージもある。
ペースメーカーの商標を取っているのはこういう背景がある。
それと、この言葉を世の中に広めたいという気持ちもあった。
この言葉を使うようになったきっかけは、約20年近く前のこと。
東京ガス社から企業支援の案件を頂いて、ある販売店の創業社長に言われた一言だ。
近藤さんのアドバイスや支援はとてもありがたいけど、これを受け続けたら、ずっと、貴社にコンサル料、払い続けないといけないよな・・。
私にはまったく本意ではなかった。
そのときに、とっさに、返答したのが、“ペースメーカーです。途中まで伴走するので、ゴールまでは自社で走ってください”だった。
この社長には、とても納得していただいた。
今では、私の会社では当たり前になった。
ベトナム進出もアフリカ進出もペースメーカー。オンライン活用もテレワークもペースメーカー。コンサルティングではなくペースメーキィング。