[本文引用]
統合学と聞いて、どういう印象だろうか?
こんな学問あったけ?
と思う人が多いのではと思う。
実は私は数年前から、統合学に関心が芽生えた。
総合学とも言える。
日々の仕事でも日常生活でも、あまりに知識やノウハウが専門化しすぎて、人間がバランスよく生活したり仕事したりするのは、難しい時代だと日頃から思っている。
もっと、全体を俯瞰した要約版のようなイメージの学問はないかと思い始めたのがきっかけだ。
その時に、イメージした図がこれだ。
人間は自らの探求心や好奇心で、様々な学問を生み出してきた。今後もこの流れは加速し続けるだろうが、専門家は専門家になり過ぎて、他の分野の事はチンプンカンプン。
これを専門バカと揶揄する声もある。
あれこれ考えている中で、人間を中心に見ることで、課題解決の糸口があるのではと思っている。
この図は、今はさらに進化しているが、最近、改めて統合学の本はないかと探してみた。
私のイメージにピッタリのものは未だに見つかっていない。
個別テーマを掘り下げる学問は、人間が長い歴史の中で沢山生み出してきた。これは、とどまるところがない。
それだけ未知が解明されていくし、その過程で、新しい専門分野が生まれる。別の言い方をすれば、細分化されていく、深耕していく。
どの分野に付けても、専門家と言うのは、とても詳しい。日々、自分が専門とする分野で調査、研究、考察を繰り返すわけだから、自分しかその領域に到達しえないものが生まれてくる。
2つの事例で考える。
一つは医療分野が身近だと思う。
医療分野も専門特化する必要があるからそうなっている。一方で総合診療科なるものは増えてきたように思う。全体のバランスを見る、不具合の連鎖を見つける。こんな役割だと解釈している。
専門病院とクリニックの関係とも言える。
何か調子が悪かったら、まずは、クリニックで診察。クリニックではワンストップでなんでも相談に乗ってくれる。ありがたい存在だ。
もう一つは、環境だ。
環境が専門です。と言われても、この分野ぐらい複雑で多岐にわたるものは無いので、ピンとこない。一方、環境問題は地球の全体最適で解決しない事には、もぐらたたきになる。環境のそれぞれの専門家の意見が仮にすべて正しくても、全体を統合する環境学がないと、長期的には決して良い方向には進まないと思う。
私達のビジネスや一般生活に当てはめても、そろそろ、医療のクリニックのような役割が必要な時代になってきたと思う。
こんなことを考えている中、昨年末、20代のいけているビジネスパーソンと食事したときにピンときた。
彼の大学の専門が社会学だったという何気ない話から始まった。
少し社会学のイメージを教えてもらったが、私が追っかけてきた統合学にとてもイメージがあう。
子供の頃からの勉強を思い出した。社会科というのは確かにあった。しかし、それを仕事で直接役立てることは今までほとんどなかったし、生活においてもそうだ。
今は、日本の教育の中に社会科がある意味から考え直してみようと思っている。もちろん、時代は大きく変わっている。
地球全体を見れば、大小無限に近いぐらいの社会が絡み合って成り立っている。最近では、ネット上の社会やアナログとデジタルを融合したような社会も次々と生まれている。
社会的動物である人間が、自ら生み出した社会に適応できず、翻弄されているのではないか?
年末年始ずっと考えながら、社会学に関する本を30冊ぐらい注文しておいた。
少しずつ、これからの人間に必要な社会学とは何かを探求してみようと思う。結果的にそれが数年前に私がイメージした統合学と一致するように思っている。
以上