[本文引用]
給与は誰からもらいますか?
と社員に聞くと、いまでも会社からと答える日本人も多い。
ただ、ここ20年ぐらいの間に、日本では給与はお客様からもらうものという考え方は浸透してきたように思う。
実は、この質問は私が長年ビジネスで関わってきたベトナムでの社員教育サービスの際に、受講生に必ず聞く質問の一つだ。
10年以上前のベトナムであれば100%近くが、会社また社長と答える状態だった。
日本は、少なくともこの20年ぐらいは、顧客満足度向上のための改善活動などを通して、考え方が随分変わってきた。
日本での理想的な答えは、“お客様からです”である。
会社には必ずお客様が存在する。そのお客様に商品を提供したりサービスを提供したりすることで対価を得る。この対価を得るということが会社の生命線だ。
会社は収入源がないと成立しない。
もちろん、収入と費用の差額が利益となる必要があるが、まずは、稼がないと始まらない。
もちろん、今どきは稼ぎ方が健全であるかどうかも大事なポイントだが、それは別の機会に譲る。
直接、顧客に接する部署であるかないかは別として、全社員の給与はお客様からもらっているという意識を持つことがとても大事だ。
会社というのは、お金を稼ぐ人とお金を使う人、そして、直接お金に関わらない部署に分けることが出来る。もちろん、稼ぐことと使うことの両方に関わるのが一番良いが、こういう役割の仕事は少ない。
経営者であれば、当たり前のようにこのバランスを把握して、利益が残るようにマネジメントしないといけない。ただ、たいていの組織は、この大事なことが疎かになる。組織の大小問わず、人間はどうしても個人最適、部分最適に走る。
まずは、“お金を稼ぐ=利益を出すこと”と単純化した場合今どき結果を出す方法は2つしかない。
一つは売上を増やすこと。
もう一つはコストを削減すること。
コスト削減はたいてい売上の減を伴うことが多い。単純なコスト削減はリスク要素でもある。
立場上、中途採用を随時しているが、当然、仕事ができる人を採用したい。しかし、なかなか面接での判断は難しい。
今は、過去の反省も踏まえて、単なる即戦力ではなくお金を稼げるかどうか、あるいはそういう意識がどれだけ強いかを判断の基準に置いている。
自分の報酬は自分で稼げる人がプロだと考えている。
色々な考え方があるが、例えばコンサルタントであれば、自分の報酬の3倍の粗利を稼ぐとか、そういう尺度はどこの業界にも存在する。自分が稼せぎに貢献した中から報酬を得ると考えるとシンプルである。
例えば、プロジェクト管理というモノづくりの仕事を考えてみる。QCD(Quality(品質)、Cost(費用)Delivery(納期)の頭文字)の3つのバランスが大事なのだが、仮にコストのことを度外視すれば、プロジェクトマネジメントは難易度が一気に下がり、プロの仕事ではなくなる。
この3つはトレードオフの関係にあるのだが、これをバランスよくコントロールし、利益を計画よりも多くすることを実現できる人がプロジェクトマネージャーとして優秀と言える。
もっと単純な仕事で考えても、このことは直ぐに理解できる。プレゼン用のパワーポイントを10P仕上げるのに、1日でできる人と2日かかる人の差は大きい。ほとんどが人件費としてのコストに差が出る。
仮に間接部門であっても、これは会社全体で見ればコスト増の要因になる。
直接部門で、仕事の損益を把握しやすい部署は、原価管理などを厳密にすれば、お金を稼ぐことは見えやすいのだが、間接部門になると自分が関わっているコストが会社全体の損益にどう影響するかは中々つかみにくい。
そういう意味では、まずは、社員全員が会計の基本や原価管理を身に付けることが基本中の基本である。
最近は、改革が急務な行政のITの本格的導入も進みだした。しかし結局の行きつく課題はABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)で、本当にその活動がコストに見合っているかが評価指標になる。
民間企業でも同じことで、直接間接部門問わず、自分の単位時間当たりのコストに見合う貢献をしているかどうかは常に当たり前として意識して行動したいものだ。
以上