[本文引用]
ビジネスに交渉は付き物だ。
よく使われる別の表現では、ネゴがある。
英語でNegotiation。
交渉力がビジネスパーソンの重要なスキルの一つであるのは間違いがない。
ただ、交渉と言うからには、交渉力が必要な職種は限定される。
交渉するのは誰とするかということがあるが、企業経営の観点から言えば、ステークホルダー(利害関係者)との関わりには、交渉と言う要素は少なからずある。
身近なところでは、営業において、お客様との値段交渉であろう。
これは、一般的にも自分が買い物客になった時に、値段交渉をするということとも近い。日本だと大阪商人の世界の印象が強いが、ベトナムなどでは大人は当たり前として、子供も交渉してなんぼで育てられている。逆に言うと、買い物した時など値切る力がないと話にならないのである。
ビジネスでの交渉と言えば、やはり、業務提携や資本提携を行う時が最難関だと思う。
言い方を変えれば、アライアンスという表現になるが、WinWinが良しとされる現代において、WinWinの関係を構築しようとするのは美しい話だが、実際はなかなか折り合わない。利害の相反は頻繁に発生することである。
私の経験で言うと、日本国内での交渉よりもやはり海外の方が難しい。
日本国内では、大手企業とのアラインスも行ったことがあるが、大企業同士ではないので、当社クラスだとせいぜい相手は一部署である。だから、会社対会社の交渉レベルではない。
一方、中小企業同士のアライアンスは中々骨が折れる。双方とも生き延びることに必死であり、そうなると、WinWinになる連携を見つけて、契約に至るのはとても難しい。もちろん、それを実現して収益向上などに反映することはもっと難しい。
海外は、私は新興国経験が主であるが、韓国人、台湾人、中国人、ベトナム人など、新興国のこれらの国は交渉力には長けている。逆に言うと、日本人には交渉力は強くない人が多い。
経営者はともかくも、一般のビジネスパーソンに交渉は得意ですか?と聞けば、大半が苦手と答えると思う。
交渉は、順調に行けばよいが、決裂すこともある。必ずしも合意に達するとは限らない。
やはり、目の前の事においてハングリーな環境にいる方が強い。なにせ。必死なのであるから。交渉には理論やエビデンスは必要だ。だが、ハングリーさに勝るカードは他にはそれほどない。
交渉の過程では、交渉に使えるカードを何枚持つかも大きく結果に影響する。
交渉と言えば、トラブルの際の民事裁判というのもある。
これも交渉のうちの一つだろう。大抵は、和解で終わるのだが、こういう事後処理的な交渉も基本は一緒だ。交渉には、とっておきのカードが必要である。争いごとであれば、証拠という事になる。
正直言うと、ビジネスで交渉がなければ、とても良好な気分で仕事ができるのは間違いない。が、現実には不可能だ。交渉力は個人のスキルによるところも大きいが、組織的な交渉力の強化が重要な時代だと思う。
以上