[本文引用]
南あわじ市の津井に会社で古い家を借りた。
築約40年。その一室にある中古のエアコン。
調べると12年前のシャープ製。残念ながら、リモコンがない。
どうしたものかと思い、近所の大手の電気店で、どのメーカーでも使える汎用リモコンを買った。
ところが、設定がややこしく、まだ、使える状態にはなっていない。
ハタと思い、ネットで古いエアコンの型番をリモコンというキーワードと一緒に検索した。
ヤフオクの画面が出てきて、1500円で購入できるとある。試しにはじめて使ってみた。
実際に届いても使えるかどうかわからないとは思ったが、それにしても便利な世の中になったものだ。
実は、こういう中古品販売に関しては、28年前の創業時に本格的なビジネスとしてスタートしたことがある。過去のブログでも書いたことがあるが、おさがりの会と名付けたベビー用品中心のリサイクル、リユースのビジネスの仕組みを作った。
きっかけは単純で、自分の子供を面倒見ていて、ふと、もったいないと思ったから。
私は、もともと、農村出身で、男3人兄弟の真ん中。服はほぼ全部が兄貴からのおさがり。兄貴は兄貴で、親戚からのおさがり。
かすかな記憶だが、新品の服は何か特別なものという感覚だった。
私が、リサイクルビジネスを始めたときは、屋外のオープンなスペースでフリーマーケットと称して、多くの庶民が出店していたのを覚えている。今はそういうほのぼのとした光景も少なくなった。私も、ビジネスの経験のため、何度かフリーマーケットの売り手として参加したことがある。
そういう意味では、今は隔世の感がある。
ネットでの中古販売の仕組みの登場は、インターネットの黎明期に始まった。
私はすでにその時は別の事業に夢中だった。
私がリサイクルを始めたころは、ネットがないので、電話とFAXで売買のやりとり。商品は現物を見てもらうか、ベビーベットなどの移送が大変なもは、ポラロイド写真で確認をしてもらった。
これでもなんとなく売買は成立した。それだけ、不要なものが日本には溢れているといたということだ。30年近く前のことだ。
こんな訳で、中古ビジネスやリサイクル・リユースには人並み以上に関心があったが、だからと言って、書籍の中古を買う以外は、私自身は、あまり、必要性は感じていなかった。
今回、みつけたリモコン。私のようにピンポイントで探している人にはとても希少価値がある。それにしても思うことがある。
こういう商品をこまめに出店する人がいるのだなと。便利な世の中だなと。
もちろん、商品なので、商売が成立すると配達費がかかる。その分は、配達ビジネスをする方々にお世話にならないといけない。微妙な気持ちもある。
今や、ネットビジネスには驚くほどのサービスや仕組みがある。そのほとんどが、いかにして余計なものを買わせるかの機能を密かに搭載している。ネットに不慣れな人が食い物にされるやっかいな仕組みだ。
しかし、このサービスを上手に使えば、物々交換の世界と近いイメージで、希少なものを探している人と、その探し物を持っていて譲れる人のマッチングはとても意義のあることだと思う。もったい文化の復活につながるかも知れない。経済的な価値はそれほど生まなくても、自助、互助の世界で他にも色々とサービスがあるように思うし、きっと、私の知らないサービスが沢山あるのではと思う。
実はこの話には落ちがある。
リモコンが無事動くのを確認した後、押入れを掃除しようと開けてみた。
なんとそこに、リモコンが置いてあった。
前の住人の心遣いに気づい