[本文引用]
部下を持つ人は沢山いる。
その方々に聞きたいことがある。
ご自身は厳しい上司ですか?
会社を創業した一人として、私自身のことを先に書こうと思う。私は雇用の最終責任者として、部下をもって約30年である。
仮に社外から近藤さんはどうですかと直接聞かれたとしたら、もちろん厳しいです、と即答する。
そもそも、私は今でも、自分が部下に厳しいことは公言している。
プロ集団として成長しようとすれば、当たり前のことだと思っているからだ。
まあ実際、部下を経由して、様々な関りの方から聞こえてくることは、近藤さんは厳しいんでしょうね、だ。こういう時は褒め言葉と思っている。
長年、新興国で仕事していると、日本人もベトナム人も何人も一緒だな、という感覚に確信が持てる。
その一つに、部下はやさしい上司を好むということがある。
ベトナムに進出した20年以上前、現地で社員を雇用し、初めての日本人の責任者を送り込んだ。暗中模索、試行錯誤の始まりだ。
以来今までに10人近くの日本人社員がベトナムに駐在した。
想像通りというか、やさしい緩やかなタイプは、すぐに部下に好かれる。特に10数年前のベトナムは、ビジネスレベルも低く、大卒クラスでも、日本人と比較した感覚では、中学生ぐらいのものだった。
上司部下というよりも学校の先生と生徒という感じだった。見事に、やさしい上司は大人気、厳しい上司は不人気。駐在が変わる度に、このことは鮮明になって行く。
このブログでも何度も書いたが、ベトナム人の社員教育を行う中で、私が特に注力したのは、ベトナム人の中にも存在する厳しめのベトナム人の上司に自信をもたせてあげること。
厳しい上司が良い上司であると、部下に気づかせること。
これはなかなか難しかった。
日本は最近ますます緩くなってきて、やさしい上司が好まれる傾向に拍車がかかっている。
それでも、日本は昔から積み上げてきたものがあり、本物の鬼上司が沢山の分野で存在する。
真のプロである。
日本のような先進国ではお手本となり羅針盤となる世界があり、そこにはキーパーソンが存在している。だから、説明もしやすい。実例で伝えやすい。よって教育もスムーズである。
ベトナムのような新興国ではそうはいかない。そもそも近視眼的な思考回路で社会が回っている。戦後の日本もそうだったと思う。
目の前のことが一番大切な時期である。
今のベトナムは変わりつつあるが、それでもやはり日本などの先進国に比べると近視眼的だ。
上司部下との関係に持ち込んでも同じことで、今の自分にとっては居心地の良い楽な上司が良いとなるのが自然なのである。
自分の将来のためにも厳しい上司を今求める部下など皆無だ。
これからの国と、どちらかというと一度栄華を極めてそれを頂点にしてやや衰退モードの日本を比べるのは強引すぎるという感はある。
それでも今のベナトムにも日本にも必要なのは厳しい上司だと思う。
今、相変わらずパワハラなどがメディアを賑わしている感はあるが、私のいう厳しい上司というのは、こういうレベルとは次元が全く違う。
今のためだけでなく、部下の将来に対して責任を持つ、将来の成長のためのきっかけや機会を提供する。
そうすれば、仮にその部下が辞めたとしても、10年先、20年先に上司や元上司に対して感謝の気持ちを持つようになる。こういう関係が私は、一番心地よい関係だと思っている。
今、厳しい上司は、将来感謝される。
こういう感覚が分かる部下と仕事を続けていきたいと思う。
以上