[本文引用]
私は今、70代、80代の社長の方々と仕事することが多い。
もともと、創業時から中小企業支援を軸に事業展開してきた。創業から30年が近づく今、高齢化社会が進展している中では、自然と言えば自然なのだが、こういう方々とのお付き合いや仕事は、とても学びが多いし刺激を受ける。
ただ、シニアの社長と言っても、様々なタイプがある。
今や日本の大きな課題の一つでもあるが、日本の中小企業の事業承継が、遅々として進まない中、生涯現役社長を貫く人も少なからず存在する。
実際、私の周囲の方もそうだが、事業承継は60歳代で行うのが一番多いと思う。
最近は、私と同じ世代で、長年同時期に経営をしてきた社長が会長職になる人が増えてきた。こういう方は、事業承継が上手くいって、次世代にバトンを渡せた人だ。
そして、その後は、引退モードの人もたまに入るが、たいていの方が、また新しい事業を始める。そういう意味では、ご自身の第二創業だと思う。
一方で、70歳になっても現役バリバリの方々とのお付き合いもあり、いつになっても好奇心旺盛で社会貢献型のビジネスを推進されている行動力には刺激を受ける。
70歳になってからが、成熟期なんだなと。と実感することも多い。最近、私が思うに、事業承継の適正年齢は70歳代ではないだろうかと思う根拠の一つだ。
日本の場合は、65歳以上のシニアの人口が、2030年には40%近くになる。
介護の問題だけでなく、今から30年近く、本当の意味でのシニアの人たちにとっての住みやすい社会の創造、自然と共生する街への回帰、人生100年時代を満喫するための新しい学びの場や働く場の創造。
幾らでも社会的課題があり、こういうものを解決するためには、シニアの方が現役で発想して自らが創造する事業や仕事が当たり前に必要になっていると思う。
仮に、40年前に創業して、今、70歳とする。この間に、平均寿命はどんどん延びてきた。先ほども書いたが、60代で事業承継と言うのは、そういう意味では早すぎると思う。また、経営環境の変化に連れて、会社が存続するようにかじ取りをするのは、やはり、創業社長がピッタリのような気がする。
今、数人の80代の現役社長とのお付き合いもある。流石に神様のように思えるが。
あと、10年もすれば、70代、80代の現役社長の人数も相当増えるような気がする。
私も他人ごとではなく、あと、10数年後、経営者を続けている可能性もあるし、それまでに一旦引退して、また、創業者としてトライするかもしれない。
もう一つのシニアの社長として存在感が増している理由は、シニア起業だろう。国や行政も、後押しをしている。
年金問題など、高齢者を支える財政が明らかに不足している今、自立するシニアが増えることは誰にとっても歓迎だ。私の周囲でも、60代後半、70代前半での起業が増えてきた。同じ経営者でも若くして創業して70代を迎えるのと、一念発起して、70歳にして起業するのでは、全然、違う。
彼らに共通するのは、常に生涯現役、生涯現場を一生貫こうとされている点。
社歴が長い経営者は、社会貢献としてのビジネスのあり方を模索する。
一方で、シニア起業の方は、自分のやり甲斐感を軸に活動される。
いずれにしても、私にとっても魅力的な方が多い。
こういう方々とお付き合いを続けながら、60代、70代をどう過ごすか。今は全く白紙だが、楽しみでならないことの一つである。
以上