[本文引用]
秋の香りが漂う9月後半の北海道。
私は、札幌と旭川に挟まれた空知と呼ばれるエリアを中心に2泊3日の行程で4つの町を訊ねた。
北海道には子供の頃からあこがれと好感を持っている。これは日本人なら皆同じかもしれない。
実は、私が創業した時のイメージは、北海道の牧場に私がいて、社員にパソコンで時々指示を出す。こんな経営スタイルを思い描いていた。どんなを事業するとかサービスかとかは全く度外視して、こういう仕事スタイルに憧れていた。
農家で生まれ育ったことが源で、“北海道はでっかいどう”というキャッチに大自然のイメージが重なっていた。
約30年前の創業時には、SOHO(いまでいうテレワーク)でスタートしたからなおさらだ。自分や社員がどこにいても活動できる会社を目指していた。
実は、創業時、私にとっては、北海道は未知の場所だった。
始めて北海道に行ったのが、私が40歳ぐらいの時。創業10年目の頃である。ITセミナーで某IT系大手のセミナー講師で呼ばれたものだ。
前日の夕方、札幌に入り、到着するなり関係者と会食。そして、午前中のセミナーを終え、午後には関西に戻った。私の北海道初体験は、北海道の空気を吸った感覚すらなかった。
それから20年近くの間に、北海道に行く仕事は増えてきたが、せいぜい、札幌、小樽周辺が中心で、あとは、友人の経営者がいる根室に一度。
私たちが経済産業省から委託を受けたクールジャパンブロジェクトで、ベトナムでの日本物産館を運営した際に、北海道に参加してもらった関係で、ビジネス的な付き合いは深くなっていたこの10年だった。
実は、今回廻ったところは、私にとって初めてのところばかり。
旭川の当麻町、あの有名な富良野町、三笠町。そして美唄市。美唄に関しては8月に初訪問していたので、2回目だが、この周辺の初心者には変わりがない。
高速道路と一般道を利用した。車から眺めた北海道の光景は、ヨーロッパに似ている風な場所もあり、徳島出身の関西人としては、一言でいうと、日本とは思えない空気感を感じた。
実は、今回の訪問先の主たる目的は、地方活性化と有機農業の普及に関するテーマだった。
北海道の人は、北海道の良さを全てわかっている訳ではない。もちろん、これは北海道に限らず、人間の本質的な性で、やはり、自分たちの良さは他人でないと気づかないことも多い。
北海道の強みは何といっても大自然。
コロナ禍のなか、自然回帰の想いが高まっている日本人。コロナ禍が落ち着いたのちには、大北海道ブームになるのではと確信した。
観光という意味でも増えるだろうが、やはり、期待したいのは大自然の中での学び。
生涯学習が当たり前になりつつある時代、一体何を学べば良いかを迷っている人は多いと思う。
いままでの学びと言うのは、学校が主体で、ここ最近は、如何に良い学校に行って、できるだけ優れた会社に就職する。
いわば、今の悪しき経済メカニズムの中で、活躍する人材育成と言っても過言ではない。
随分前から、地球は疲弊し悲鳴を上げている。
経済メカニズムの中にどっぷりつかってしまった現役ビジネスパーソンの耳には、なかなか届かない。
だからこそ、老若男女、国籍問わずの多様な人達が、大自然で学ぶ。自然を体験する中で、大切なことは何かを悟り、人間らしさ、日本人らしさを学びなおす。
こういう場所としても北海道は最適だと確信したとても有意義な出張であった。
以上