[本文引用]
新興国との健全で良好な関係なくして、日本の未来は良くならない。
これは経営者であれば、誰も否定できないと思う。とりわけ近隣のアジアとの互恵的信頼関係の構築が土台として必要なのは言うまでもない。
その中でも特に東南アジア中心の新興国との人材活躍の場づくりが日本には求められている。
コロナ禍においてもそうだが、日本の新興国人材活用の政策と実態は、決して世界に誇れるものではない。ともすれば、日本は安価な労働力の搾取をする問題の国として国連からも非難を浴びてきた。実はこういうことも世界の人には知られつつある。
一方で、日本はいまだに新興国などでの信用は厚い。新たなビジネスのパートナーとしての人気の高い国である。これは、日本人としては嬉しいことではあるが、それは先人たちが積み上げてきた実績が大きい。
特に日本の商品やサービスの質の高さからの連想も重なっていると思う。決して日本人らしさや日本の文化伝統に根差した人気ではないのを新興国で活動していると実感する。
今、日本は多文化共生社会の構築に躍起だ。
地方に行くと、自治体が主導して外国人人材の活躍の場を創ろうとしている。私はこういう動きには賛成だが、少し足らないところがあると思う。
それは、日本に来てもらった時にどうするかは大事だが、もっと大事なことがある。それは彼らが自国に戻った時にどうしてあげられるかだ。
新興国からくる彼らには、自国にはビジネスチャンスが沢山あり、起業家も生まれやすい環境ではある。しかしながら、まだまだ生活環境も良いものとはいえず、ビジネス基盤も脆弱である。
だから、仮にせっかく日本で学んでも自国で活かすチャンスに恵まれていない。
せいぜい、日本語が分かりますというケースが多い。
私がお付き合い頂いている経営者の中には、先駆的に新興国人材を健全に活用している企業がある。その方々は、当たり前のように、自国に戻った時までもどうサポートできるか、新たなビジネスチャンスを如何に創造するか。こんな思いを持つ方ばかりだ。
コロナ禍で人類は学んだはずだ。
それは世界は一つであるということ。つながっているということ。
今後、ITの恩恵によって世界は更につながっていく。そして、見える化も進展するのは疑う余地のないことだ。
新興国の人達の日本での活動ぶり、仕事ぶりは、自国だけではなく、世界にどんどん見える化がされている。
今、世界で健全なビジネスへの転換が叫ばれている。環境問題しかり、顧客との関係性しかり、食品で言えば、安心安全で健康的であるかに加えて、健全なサプライチェーンであるかまで問われる時代だ。
先進国でとても信頼できるブランドでも、原材料の調達元で搾取型のビジネスになっていないか?ことあたりまでが、当たり前のように見える化される時代になりつつある。
日本に来る新興国の人達は、正社員、留学、技能研修生など様々な制度に乗っかっている。
だが、実態は、彼らは日本人が従事しなくなった一次産業や製造業などの基幹産業で、エッセンシャルワーカーとして活躍している。
こういう部分もビジネスの関係者だけではなく、国民全体が知り学びなおすべき時代である。
私は、彼ら彼女らの明るい未来創りに貢献できる国でありたいと切に願っている。
年明けには、すでに先進的取り組みをされている経営者の方々の力もお借りして、日本の経営者の方々に、新興国との協調、共生の道への第一歩としての新興国人材の活躍の場づくりに賛同して頂くために、本にまとめようと思っている。
以上